迷うことについて

  • 著者:レベッカ・ソルニット
    翻訳:東辻賢治郎
  • 装幀:松田行正+杉本聖士
  • 定価:本体2400円+税
  • 四六判並製/236ページ
  • 2019年5月30日
  • 978-4-86528-234-4

わたしたちはいつだって迷っている。夜明け前が一番暗いと知っているけど、その暗さに耐えられるときばかりじゃない。失われたもの、時間、そして人びと。個人史と世界史の両方に分け入りながら、迷いと痛みの深みのなかに光を見つける心揺さぶる哲学的エッセイ。


全世界を見失うがよい、迷いながら自分の魂を見出だすのだ。ーーH・デヴィッド・ソロー。

いにしえの哲学者は「それがどんなものであるかまったく知らないものを、どうやって探求しようというのか」と問うた。
一見、この問いはもっともだ。でも、いつだってわたしたちが探しているのは、どんなものかまったくわからないものだ。
進むべき道に迷い、〈死の谷〉で帰り道を見失い、愛の物語はガラスのように砕け散る。
脚本はついに一文字も書かれず、囚われ人は帰ってこない……。

旧大陸からやってきて、いつしかアメリカ西部のどこかに姿を消した曽祖母。
たどり着いた新大陸を10年にもわたってさまよった最初期の入植者カサ・デ・バカの一行。
嵐のような10代の冒険をともに過ごし、ドラッグで命を落とした親友。
ルネサンス以来描かれるようになった〈隔たりの青〉。
かつて愛した砂漠のような男。
父との確執。
ソルニット自身の人生と、アメリカを中心とした歴史と文化史に視線を向けて、
メノンとソクラテス、ベンヤミンやヴァージニア・ウルフらとともに、
迷うことの意味と恵みを探る傑作。



まったく迷わないのは生きているとはいえないし、迷い方を知らないでいるといつか身を滅ぼす。


目次
第1章 開け放たれた扉 Open Door
第2章 隔たりの青 The Blue of Distance
第3章 ヒナギクの鎖 Daisy Chains
第4章 隔たりの青 The Blue of Distance
第5章 手放すこと Abandon
第6章 隔たりの青 The Blue of Distance
第7章 二つの鏃 Two Arrowheads
第8章 隔たりの青 The Blue of Distance
第9章 平屋の家 One-Story House
レベッカ・ソルニット(Rebecca Solnit)
1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。1988年より文筆活動を開始する。歩くことがいかに人間の思考と文化に深く根ざしているか広大な人類史を渉猟する『ウォークス 歩くことの精神史』(Wanderlust, 2000)、エドワード・マイブリッジ伝River of Shadows(2004、全米批評家協会賞)、ハリケーン・カトリーナを取材したA Paradise Built in Hell(2009、邦訳『災害ユートピア』)、#MeToo運動のうねりの予兆となった話題作『説教したがる男たち』など、環境、土地、芸術、アメリカ史など多分野に二十を越す著作がある。美術展カタログや雑誌への寄稿も多数。

東辻賢治郎(とうつじ・けんじろう)
1978年生まれ。翻訳家、建築・都市史研究。関心領域は西欧初期近代の技術史と建築史、および地図。翻訳書にソルニット『ウォークス 歩くことの精神史』がある。
記事・書評
聖教新聞 2019年9月28日 「哲学的で詩的な文化論と随想」
毎日新聞 2019年8月28日 文芸時評わたしのおすすめ 大澤聡さん
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