中国現代美術の道![]() 列強による植民地化がはじまったアヘン戦争から、グローバル化した世界の主役のひとりとして影響力をいやます21世紀初頭まで。中国美術界の最重要人物が描き出す160年間の現代中国美術史決定版。図版多数収録。
近現代中国美術の歴史とは、西洋に刺激され、翻弄されながらも、 独自の発展を遂げてゆく、紆余曲折に満ちた歩みだった──。 宣教師たちによって細々ともたらされてきた西洋画と、 独自の発展深化を遂げてきた中国画の成熟。 そして、通俗美術の分野から次第に広がってゆく西洋絵画の技術、 徐々に広く、深くなってゆく西洋とのヒト・モノのコミュニケーション。 こうした世情を背景に、アヘン戦争からはじまった西洋近代との衝撃的な出会いは、 中国画の伝統を否定すべきか否か、来るべき近代の中国画はいかにあるべきか、 激しい論争とさまざまな活動を一挙に引き起こしてゆく。 中西の融合を唱えた嶺南画派、フランスにモダニズムを学んだ林風眠や劉海粟ら、 中国画の伝統の保護と更新を主張した黄賓虹と潘天壽──。 さらに、日中戦争から中華人民共和国建国へと展開する民族的危機を経て、 文化大革命、改革開放、グローバリゼーションの今日に至るまで、 中国の美術は、国家や人民にとっていかにあるべきか、という問いにも晒されてきた。 リアリズムとロマン主義の融合した革命絵画の勃興と、地方への写生運動、 その後の中国のアートの発火点となった「85美術新潮」──。 「中国にとって近代とは何か?」 国民的画家潘天壽を父に持ち、中央美術院院長などを歴任し、 みずからも現代中国水墨画を代表する作家である潘公凱が、 この大きな問いのもと堂々と描き出す大作。 目次 中国の現代美術とは何か? (序文に代えて) 序論 〈自覚〉と〈四大主義〉 近代的反省に基づく芸術史 第一部 一八四〇─一九一九 第一章 中国近代美術の生存環境 第二章 〈西洋画の東漸〉と近代都市における通俗美術の興起 第三章 近代中国絵画の自律的発展 第四章 問題の検討 第二部 一九一九─一九四九 第一章 中国近代美術の始まり 第二章 中国画の近代転換における自覚的選択 第三章 近代美術教育制度の移植と生成 第四章 西洋画東漸中の自覚的移植 第五章 〈大衆主義〉美術 第六章 問題の検討 第三部 一九四九─一九七六 第一章 「最も新しく最も美しい図画」を描く 第二章 伝統主線の断裂と中国画の改造 第三章 「油絵民族化」とロシア・ソ連美術の導入 第四章 美術大衆化の全面的展開 第五章 「文革美術」〈大衆主義〉美術の過激化した表現 第六章 問題の検討 第四部 一九七六─二〇〇〇 第一章 改革解放と思想の解放 第二章 「八五美術新潮」と活気ある多元的状況 第三章 現代的コンテクストの下での世紀末の潜伏 第四章 問題の探求 結び 後記/主要参考文献 潘公凱(はん・こうがい) 書店様向け![]() |