視触 多中心・多視点の思考


  • 著者:矢萩喜從郎
  • 装幀:矢萩喜從郎
  • 定価:本体3700円+税
  • A5判上製/624ページ
  • 2014年2月25日 第一刷発行
  • 978-4-903500-94-2 C3070
多角的な才能を発揮しつづけている矢萩喜從郎氏の最新エッセイ集。 ロシアアヴァンギャルド、モダニズム建築、現代音楽、さらには東欧や中南米の政治状況論まで、現場体験を混じえ、デザイナーならではの独自の視線をもって思索する。 和辻哲郎『風土』、コーリン・ロウ『透明性』、谷崎潤一郎『陰翳礼讃』の3つの古典を批判的に検討し、開放感と詩情を併せもち今なお影響力をもつポーランド派ポスターの草分けヘンリク・トマシェフスキ、色彩の独特の配置で知られる昭和期を代表するデザイナー早川良雄を論じる。他に武満徹、ジョン・ケージ、槇文彦、鈴木恂、レイモン・サヴィニャック等をとりあげる。 暗転しつつある〈現在〉を、視線でまさぐる!




目次
はじめに——“現在”に生きる姿

◎Ⅰ 視触を通して立ち上がる思考
1:視触
2:“自然”と向き合う中で紡がれる思考——「HIDDEN JAPAN─自然に潜む日本」

◎Ⅱ 発語し感応する身体
1:“裸形の精神”が引き上げる「発語する身体」——武満 徹の紐解きから
2:空間に感応する身体——ジョン・ケージのチャンス・オペレーションの実践

◎Ⅲ 建築と空間と精神
1:「音の建築家」の建築——ヤニス・クセナキス
2:モダニスム領域への点描法的参加——槇 文彦
3:天空から架けられる天幕——鈴木 恂
4:バナナの中身としての内部空間

◎Ⅳ 今を生きる為に
1:生きものとしての距離
2:ほころび
3:中央アメリカの光と影——太陽や星の光が降りそそぐ「周縁」の人々から学ぶもの

◎Ⅴ 再考からの視座
1:コーリン・ロウ、ロバート・スラツキー『透明性——虚と実』 再考
2:和辻哲郎『風土——人間学的考察』 再考
3:谷崎潤一郎『陰翳礼讃』 再考

◎Ⅵ 実験精神が拓く創造
1:アレクサンドル・ロトチェンコの実験精神
2:早川良雄、境界溶融の精神
3:「芸術」と「芸術の酵母」を繋ぐヘンリク・トマシェフスキの造形哲学
4:爆発的に伝播する、サヴィニャックのユーモアとエスプリ

◎Ⅶ “現在”を照射する思考と“眼振”から啓発される思考
1:“現在を照射する鏡”としての「仮想境界面」——彫刻、そしてインスタレーション
2:“眼振”がある事実から——この世に静止した視点は存在しない

あとがき——俯瞰できる眼
矢萩喜從郎(ヤハギキジュウロウ)
1952年山形県生まれ。建築家、デザイナー。早稲田大学大学院理工学研究科修了。慶應大学理工学部非常勤講師。
建築、ランドスケープ、グラフィック、プロダクト、家具、写真、アート、彫刻、評論を手がける。
ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ特別賞(1980)、同金賞(1990)など受賞多数。
主な著書に『平面 空間 身体』(2000)、『空間 建築 身体』(2004)、写真集『VISIONS OF JAPAN』(1991)など。作品展の他、展覧会監修なども多数ある。(本書巻末に詳細が記されています)
記事・書評
図書新聞 2014年6月21日号 「視触」=「障りの感覚」への考察 高島直之