宮沢賢治 氾濫する生命

  • 著者:鈴木貞美
  • 装幀:芦澤泰偉
  • 定価:本体3700円+税
  • 四六判上製/456ページ
  • 978-4-86528-122-4 C0095

作品と人生を総合し、全体像を立ち上がらせる賢治研究のニュー・スタンダード! 同時代の科学、宗教、芸術、精神の地層を徹底的に掘り起こし、さまざまな謎に満ちた迷宮世界の歩き方を示す。

宮沢賢治ワンダーランドを行く者は、誰だって「ぐるぐるする」。「青森挽歌」に記されているように、賢治自身が「ぐるぐる」する過程を書いているのだから、しかたないところもある。わたし自身、「ぐるぐる」させられてきた。が、いつまでも「ぐるぐる」してばかりはいられない。本書では宮沢賢治の世界を一九一〇年代から三〇年代への文芸文化史に開くことで、通説に対するオルタナティヴや新たな見解を随所に示した。そればかりではなく、賢治ワールドは矛盾対立する要素をどのようにして抱えこんでいられたか、という誰もが感じて不思議はない、だが、本格的に取りくまれたことのない問題意識を中心において、新たな宮沢賢治ワールドの全体像を築くことを企図した。
(あとがきより)

[目次]
序 「雨ニモマケズ」がアメリカで読まれ
第一章 賢治ワールドの深い謎
第二章 イーハトヴの歩き方
第三章 信仰の根かた
第四章 歌稿とその周辺
第五章 賢治、百面相
第六章 氾濫する生命
第七章 再考「雨ニモマケズ」
第八章 万華鏡の彼方へ
あとがき
宮沢賢治作品・草稿索引/人名索引

鈴木貞美(すずき・さだみ)
1947年生まれ。東京大学文学仏文科卒。学術博士。人間文化研究機構/国際日本文化研究センター名誉教授。総合研究大学院大学文化科学研究科名誉教授。主著に『「近代の超克」――その戦前・戦中・戦後』(2015)、『「日本文学」の成立』(2009)、『生命観の探究――重奏する危機のなかで』(2007)、『梶井基次郎の世界』(2001)、『日本の「文学」概念』(1998)以上作品社。一般向けの著書に『入門 日本近現代文芸史』(平凡社新書、2013)、『自由の壁』(集英社新書、2009)、『日本人の生命観――神、恋、倫理』(中公新書、2008)、『日本の文化ナショナリズム』(平凡社新書、2005)、ほか編著書多数。
記事・書評
 図書新聞 2015年11月21日 「学際の大道を歩むスタンダード」澤村修治
 東京新聞 2015年9月13日 書評欄「矛盾に満ちた理想郷の夢」吉田文憲
 日本経済新聞 2015年8月13日夕刊 「目利きが選ぶ3冊」陣野俊史