衝突と共存の地中海世界 古代から近世まで![]()
揺れるEU、極端に触れるアメリカ。グローバル化を背景に、近代国民国家の終焉が指摘されるいま、さまざまな文明・民族・宗教が生き続けた地中海世界こそ、目を向ける意味がある。
紀元3000年紀、灌漑農業の発達とともに発達したメソポタミア文明、エジプト文明以来、ヨーロッパ・アジア・アフリカを結びつけてきた地中海。そこにはハンムラビ法典とシュメール文字を持ったバビロニア王国、巨大なピラミッドを築いたエジプト、その狭間では小都市国家が群立し、「海の民」をはじめとする諸民族が入り乱れ、その揺り動きはやがてペルシア帝国の成立を招く。ギリシア、ローマ時代を経て、ラテン・カトリック文化圏、ギリシア・東方正教文化圏、アラブ・イスラーム文化圏が鼎立、十字軍による衝突がありつつも豊かな交易を行っていた14世紀まで、諸勢力、諸民族の接触と交流と対立をわかりやすく描く 本書の第一の目標は、地中海世界のこの多面的な歴史を古代から近世まで概観しながら、風土や文明が歴史の中に刻んだ足跡をたどり、地中海世界の歴史の魅力を伝えることである。そして、第二の目標は、多様な文化的背景をもつ人々が接触・交流・衝突してきた地中海世界の歴史を振り返ることにより、グローバル化する現代世界の異文化共存や衝突の問題を考察するための材料を提供し、自らが生きる世界の現在と未来を把握するための視座を提供することである。(「はじめに」より) 目次 はじめに 第一章 地中海世界と文明の創造力 第二章 オリエント世界 第三章 東地中海世界の激動と波及 第四章 ギリシア世界 第五章 共和政期ローマ 第六章 ローマ帝国と多神教世界 第七章 一神教世界帝国と古代末期 第八章 西地中海の新たなる秩序 第九章 東地中海の覇者 第十章 三つの文化圏 第十一章 ノルマン人と地中海 第十二章 シチリア王国 第十三章 地中海における文明の衝突 第十四章 地中海ネットワーク 第十五章 地中海世界の歴史 おわりに 本村凌二(もとむら・りょうじ) 1〜8章 |
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