近現代日本の生活経験

  • 著者:中川清
  • 装幀:松田行正+杉本聖士
  • 定価:本体2200円+税
  • B6並製/276ページ
  • 2018年4月30日 第一刷発行
  • 978-4-86528-194-1

少子長命化、格差社会、ワーキングプア……。
いま私たちが抱える問題はすべて、150年間の近代化のあゆみの帰結である。
より豊かでより良い生活を求めてきた私たちがどのように「生き方」を変化させてきたか、貧困問題や人工妊娠中絶など、広い視点で今日の問題の本質を捉える。


[国立社会保障・人口問題研究所が指摘した]「社会の失敗」という言葉は重い。人口が急増し急減する人口曲線の姿は、われわれのこれまでの生活のあり方と切り離せない。人口減少社会は、近代に対応してきた生活の営みの「思わぬ結果」として引き起こされるともいえるからである。けれども、近代を享受して身につけたものを、人口曲線のように劇的に脱ぎ捨てるわけにはいかない。日常生活の変化は緩慢であるが、そこでの生き方が少しずつ変化していることも確かである。二十一世紀の社会では、子どもを産み育てること、家族を形成し維持すること、長生きし衰えやがて終末期を迎えること、これらの人生途上の出来事が、これまでとは違った意味合いを帯びてくるのではないだろうか。
「第九章 少子・長命の環境と生き方の変容」より


目次
はじめに
第一章 生活の貧しさはどのように見出されたのか  十九世紀末から二十世紀初めの貧困言説
第二章 貧困実態の変化と貧困への働きかけ  十九世紀末から一九三〇年代へ
第三章 生活構造の緊張・形成・抵抗  二十世紀前半の過剰な生活対応
第四章 生活改善同盟会の活動と階層構図  一九二〇年代から戦時期の改善言説
第五章 生活変動の転機と人工妊娠中絶  一九五〇年代の生活課題の内部化
第六章 「よりよい」生活と生活単位の縮小  一九六〇年代から九〇年代の自己変容
第七章 多元化する現代の貧困  一九九〇年代以降の貧困問題の拡がり
第八章 生活保障から生活支援へ  二十一世紀にかけてのミクロの生活問題
第九章 少子・長命の環境と生き方の変容  現在、そして近未来へ
おわりに

中川清
生活構造論、社会政策学。同志社大学名誉教授。主な著書に『日本の都市下層』(勁草書房、労働関係図書優秀賞受賞)、『明治東京下層生活誌』(編著、岩波文庫)、『日本都市の生活変動』(勁草書房、生活経済学会賞、社会政策学会学術賞受賞)など。
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