漫画家の自画像


  • 著者:南信長
  • デザイン:鈴木成一デザイン室 装画:山田参助
  • 定価:本体2,000円+税
  • 四六版並製/304ページ
  • 2021年11月30日 第一刷発行
  • 978-4-86528-055-5 C0095
史上初!!自画像から読むマンガ史! 
手塚治虫から藤本タツキまで400以上の〈漫画家マンガ〉の変遷とその世界を徹底解説。

〈ベレー帽=漫画家〉をつくった手塚治虫、バッテン目の萩尾望都、動物・ロボ化の鳥山明、不変不動の高橋留美子、そして進化を続ける江口寿史──。 近況欄の自画像から作中に登場する自分キャラ、漫画家マンガの主人公まで 漫画家たちにとって、もっとも身近なキャラは「自分」だった。 彼らは自らをどうキャラ化し描いてきたか? なぜ顔出ししない漫画家は多いのか?  美化して描くか?卑下して描くか?  そして、奥深い〈漫画家マンガ〉の世界。 マンガ解説者南信長が、漫画家たちの生態に迫る!ボリューム満点の304頁。 【漫画家マンガ系譜図、リスト付き】
自画像を描いたことのない画家がおそらくいないように、自画像を描いたことのない漫画家もまずいない。漫画家も自我の強いタイプが多く、その点は画家と似たようなものだろう。ただし、漫画家は自画像そのものが作品になるわけではない。雑誌の近況欄や単行本の著者近影代わりに使ったり、作中に自分自身を登場させたり。つまり、自分をいかにキャラクター化するか――それがマンガにおける自画像のあり方だ。当然、自己演出の要素が強くなるが、それでも自己省察的な要素がないわけではない。どのようなキャラにするか、現実の自分に似せるかどうか、そこに自意識はおのずと表れる。 「はじめに」より
❖目次❖

はじめにーー漫画家にとっての自画像とは 

第1章 キャラ化する漫画家たち

(PART1)キャラクターとしての〈漫画家〉誕生
自分をマンガに登場させた先駆者たち 
〈手塚治虫〉というキャラクター 
手塚の自伝的作品とエッセイマンガ 
漫画家たちが描いた手塚治虫 
お互いを描いたトキワ荘の仲間たち 
『まんが道』に描かれた漫画家たち 
寺田ヒロオ最後の週刊連載『ノンキ先生まんがノート』 

(PART2)自伝マンガに見る本人キャラ
「別冊少年ジャンプ」の自伝シリーズ 
ベテラン作家たちの貴重な〝自分語り〟 
ジャンプ躍進を支えた若手作家の半生記 
自伝エッセイ作家としての矢口高雄 
フィクションの皮をかぶった自伝マンガ 
駆け出し時代の苦闘の日々を振り返る 
ベテラン作家の破天荒な回想録が続々登場 
女性作家たちのあけすけな回想録 
『アオイホノオ』が生んだ第二次自伝ブーム 
劇画家たちが描く〝まんが道〟 

(PART3)〝私マンガ〟のディープな世界
〝私マンガ〟の先駆け『ライク ア ローリング ストーン』 
自らの〝罪〟を吐露したジョージ秋山『告白』 
本宮ひろ志の政治実況マンガ『やぶれかぶれ』 
後進に大きな影響を与えた〝私マンガ作家〟つげ義春 
つげ義春の系譜を継ぐ桜玉吉と福満しげゆき 
仕事に行き詰まったベテラン漫画家の赤裸々描写 
エッセイマンガのルーツとは? 
女性漫画家たちの『わたしのデビュー時代』シリーズ 
漫画家が多数登場する『フロムK』 

(PART4)伝説として描かれた巨匠たち
評伝マンガの先駆け「漫画狂の詩」シリーズ 
評伝ジャンルを確立させた『ブラック・ジャック創作秘話』 
女傑・上田トシコの伝記『フイチン再見!』 
青木雄二とあだち勉の破天荒な人生 
実の娘が描く吉沢やすみと家族のドラマ 

第2章 自画像と自意識の狭間で

(PART1)顔を出す漫画家、出さない漫画家
小説家に比べて表に出ない漫画家の顔
漫画家が雑誌の表紙を飾った時代
漫画家本人が登場する企画記事
雑誌内アイドルとしての少女漫画家 
今では貴重なあの作家たちの写真
顔を出すべきか、出さざるべきか

(PART2)自画像に表れる自意識
マンガ誌の近況欄と自画像 
もくじの自画像コメントの先駆者「ジャンプ」
新人作家の最初の仕事は自画像を描くこと
自画像を美化して描くか卑下して描くか
少女漫画家たちの簡略化自画像 
確信犯的なブス自画像とイケメン自画像
人間の姿ではない自画像の登場
自画像の変化とペンネームの変化には相関あり?

(PART3)固定された自画像、変化する自画像
萩尾望都の自画像はいつバッテン目になったか 
キャラ同様に年を取るちばてつやの自画像 
年を取っても自画像が変わらない理由
自らをメインキャラ化した吾妻ひでお
とり・みきの自画像にはなぜ足がないのか
お互いの作品に登場する吉田戦車と伊藤理佐
常に最新の自画像を提供する江口寿史 
自らをモデルにしたキャラ「寿五郎」誕生 
最初から自分自身を主役とした西原理恵子
本人の人生とリンクするキャラクター像

第3章 〈漫画家マンガ〉の世界

(PART1)漫画家という仕事の歓喜と苦悩
永島慎二『漫画家残酷物語』の衝撃 
『巨人の星』コンビによる熱血漫画家マンガ
ハウツー要素を盛り込んだ『その他くん』
漫画家マンガ中興の祖『燃えよペン』
漫画家という仕事の過酷さを描く
漫画家マンガの王道は「二人組で描く」!
ライバルと切磋琢磨する漫画家の卵たち 
主人公がマンガを描かない漫画家マンガ!? 

(PART2)エロ漫画家に花束を!
〝日陰者〟の情熱と誇りを描く 
あえて漫画家ではなくエロ漫画家と名乗る
マンガのためならひと肌もふた肌も脱ぐ! 

(PART3)漫画家と編集者の熱きバトル
編集者に翻弄される新人漫画家
漫画家視点と編集者視点の違い
漫画家と編集者の理想の関係とは?

(PART4)「マンガの描き方」を描いたマンガ
手塚治虫のマンガ指導マンガ『漫画教室』
鳥山明と村田雄介の『ヘタッピマンガ研究所』
古くからあった少女マンガ誌の「まんが教室」 
マンガの描き方マンガの金字塔『サルまん』

(PART5)拡大していく漫画家マンガの世界
恋愛をテーマとした漫画家マンガ 
漫画家と編集者の多彩な恋愛模様
腹が減ってはマンガが描けぬ
漫画家と編集者がメシを食うと……
極道や殺し屋が漫画家をめざしたら!?
タイムスリップしたり転生したりする漫画家マンガ
表現規制問題に真っ向から挑むディストピアSF

おわりに 

参考文献 
漫画家マンガ年表 
作家名索引 

南信長(みなみ・のぶなが)
1964年生まれ。マンガ解説者。朝日新聞読書面コミック欄のほか、各紙誌でマンガ関連記事を企画・執筆。著書『現代マンガの冒険者たち』『マンガの食卓』(ともにNTT出版)、『やりすぎマンガ列伝』(角川書店)、『1979年の奇跡』(文春新書)、『もにゅキャラ巡礼』(楠見清氏との共著/扶桑社)など。2015年より手塚治虫文化賞選考委員も務める。