夢の夜から口笛の朝まで

  • 著者:丸山健二
  • 装幀:松田行正+杉本聖士
  • 定価:本体3600円+税
  • 46上製/418ページ
  • 978-4-86528-114-9 C0093

【左右社設立10周年第二弾!】
「渡らず橋」と呼ばれる一本の朽ちた古い吊り橋を渡る人たち。父と子の葛藤、兄妹の運命。過去に幸福の記憶はなく、未来に希望を見つけられない人たち。
圧倒的な文体で、人生の救済を描く、丸山健二渾身の書き下ろし最新小説。

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刊行に寄せて

 文学そのものが死んだわけではありません。
 死んだのは、恥ずかしい限りのナルシシズムと、打算的に過ぎる既得権益に毒されてしまった、悪しき群れとしての文学関係者自身なのです。

 それが証拠に、
  言霊の宝庫たる文学の大海原は、依然として、宇宙を超える広がりと、無限の感動を秘めながら、悲劇の色に染めぬかれた、我々矛盾だらけの人類の現前に、ゆったりとうねり、脈々と息づいています。

 そうした人間の魂の深淵を本気で探ろうと、渺茫たるその大海へ出て行くための、頑強な船を書き手が用意したとき、
 それに乗りこめる真の読み手の数は、現実を直視できることが最低条件ゆえに、当然少ないのですが、
 しかし、
 自己逃避が目的ではないかれらこそが、
 文学の醍醐味を満喫でき、そして、人間が人間であることを証明してやまない、唯一無二の堂々たる芸術として、後の世に引き継いでゆくことが可能な、個に立ち返り、自我と対峙するための、正真正銘の文学の後継者と言えるでしょう。

                            丸山健二

[目次]
夢の夜から
水葬は深更におよび
今宵、観月の宴に
口笛の朝まで


丸山健二(まるやま・けんじ)
1943年生まれ。最年少で芥川賞を受賞、今なお文学の地平を切り拓く小説家。
記事・書評
東京新聞 2015年7月5日書評面
毎日新聞 2015年6月7日著者インタビュー「純粋な橋が真の感動語る」
読売新聞 2015年5月26日文芸月評「主人公は吊り橋 様々な人と死」
日経新聞 2015年5月21日夕刊 陣野俊史「目利きが選ぶ3冊」