もう一人の吾行くごとし秋の風 村次郎 選詩集![]()
えんえんと歩き観察する、幻の詩人
八戸・鮫に生まれた詩人・村次郎。 伊東静雄、中村真一郎、芥川比呂志、白井浩司らと交遊し、堀田善衛の小説にも登場している。 彼の『全詩集』から詩人・管啓次郎が心打たれた70 篇をセレクション。 「彼の前にはいつも彼自身が歩いているようだった。 彼が残した言葉が、今帰ってきた。」 本書は、下記イベントの連動企画として刊行しました。 八戸ブックセンターギャラリー企画 「紙から本ができるまで展 村次郎×管啓次郎×五十嵐哲夫×三菱製紙八戸工場」 2018年10月27日(土)〜 2019年1月27日(日) ❖本文より 「原」 なぜこんな虫に 心ひかれるのだ なぜこんな風に 心みだされるのだ 風がふき 虫のなく原のなか 風がふき 虫がよろけ 僕の心もよろけ 風の原 虫の原 原のなかのまんなか 風がふき また別の風がふき 虫がなき また別の虫がなき ああ 原にゐて 地に立ってゐて なぜこの空が おもいのだ 夕映のさふらんいろが 空氣がくるしいのだ 風がふき 虫のなく原のなかのまんなか 風ふけ 虫なけ 原のなかのまんなか 目次 村次郎 選詩集 村次郎を発見しよう 管啓次郎 著者 記事・書評 図書新聞 2018年12月22日号 下半期読書アンケート 中村隆之さん |
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