コロナ時代の哲学 THINKING「O」016号![]()
死者の権利の剥奪、自由の制限、緊急事態下の国家権力──
國分功一郎・大澤真幸の緊急対談が実現。 現代で最も注目される哲学者アガンベンは、国民の自由を制限するイタリア政府のコロナ対策を批判し、各国の哲学者たちから強く非難される。 しかし、この発言は「自由をとるか、安全をとるか」という究極の選択を迫られている私たちへの警鐘である。 アガンベンの発言を出発点に、フーコー、アーレント、ベンヤミンなどの思想を横断しながら、コロナ禍に顕在化した、民主主義社会への根本的な問いを考える。 ◉大澤真幸の書き下ろし論文掲載 「新しい生活様式」というディストピア、監視国家に対抗するモニタリング民主主義について、社会学、科学、哲学を横断しながら論じる。 コロナ後の--あるいはコロナとともにある--世界を民主的で自由なものにするためには、ここに述べたような意味でのモニタリング民主主義が合法化され、擁護され、積極的に支援されていなくてはならない。それは、この社会の神的暴力を導入することである。その神的暴力が、ポストコロナの世界がディストピアへと転ずるのを防ぐだろう。 ❖ 目次 まえがき 〈不可能な世界〉の中から 論文 大澤真幸「ポストコロナの神的暴力」 一 イエスの墓の前で 二 新しい生活様式? それはディストピアだ 三 監視を超えて 四 神的暴力の現代的活用 対談 國分功一郎×大澤真幸「哲学者からの警鐘例外状態、国家権力、死者の権利」 コロナ禍は「世界共和国」への第一歩 無意識化の革命 副産物としての真実 アガンベンの問題提起と炎上 例外状態への警鐘 「生の形式」とアガンベンの行き詰まり 「生の形式」の乗り越えと、身体性への回帰 国家理性と近代国家の誕生 法の内側と外側の境界線 特別付録対談をより深く理解するための文献・ブックリスト 〈キーワード別〉 追悼 大澤真幸「中村哲さんを悼んで 井戸は地下水脈につながっている」 大澤真幸(おおさわ・まさち) |
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