日本人が70年間一度も考えなかったこと 戦争と正義 THINKING「O」013号

書影
  • 著者:大澤真幸、姜尚中
  • 装幀:松田行正+杉本聖士
  • 定価:本体1100円+税
  • 46版並製/112ページ
  • ISBN978-4-86528-131-6

われわれ日本人は、戦争と平和について戦後ずっと考えてきたつもりでいる。だがしかし――。「大規模なデモをもって強く反対されている法を、きわめて強引な仕方で通過させた政権が、高い支持率を維持しているのはどうしてなのか」その"不可解”な事実を、グラフと数値を使いあざやかに解明! 「敗戦」を乗り越えるための論点は、「九条の純化」そして「積極的中立主義」へと展開する。安保法案成立を嘆くより、日本にはまだ未来のためにできることがあると目が覚める一冊。


〈目次〉
まえがき
【対談】姜尚中と大澤真幸が「敗戦の日」に語る 永続敗戦から抜け出す唯一の道……姜尚中×大澤真幸
【論文】戦争と平和 どうしたら憲法九条は活きるのか………大澤真幸

[まえがきより]
THINKING「O」13号では、戦争と正義について、日本の敗戦後70年という歴史を受けて考えている。こうした主題に緊急性があると判断したきっかけは、もちろん、安倍晋三内閣によって、集団的自衛権を認める安全保障関連法が提案されたことにある。この法は、すでに衆参両院で可決され、成立している。しかし、この法の審議している過程で――ただし国会内の議論ではなく国会外の状況を通じて――明らかになった問題は、解消されていない。(以下本編にて)

[対談より]
 ところで、今の集団的自衛権は、国際情勢が緊迫しているから必要だというのですが、緊迫しているとは思えない。
大澤 同感です。問題になっている尖閣諸島は無人島でヤギしか住んでいないのに、領土問題の最大の焦点になっている。ほんとうに緊迫しているのは、日米関係です。
 大澤さんから見て、もし戦後の国体があるとすると、これは一国単位では完結しなくなっていると考えていいですか。
大澤 もし戦後の国体として、それらしいものがあるとすれば、これは憲法九条をおいてほかにない。ところが憲法九条は、それが素晴らしいとすれば、おっしゃる通り、日本の中で閉じないから素晴らしいのです。憲法九条は、外交上の基本方針を書いているものです。


記事・書評
 下野新聞、鹿島新聞 2015年11月22日付 読書面
 信濃毎日新聞 2015年11月22日付 読書面

大澤真幸(おおさわ・まさち)
1958年生まれ。社会学者。著書に『不可能性の時代』『ナショナリズムの由来』『〈自由〉の条件』『〈問い〉の読書術』など。共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『二千年期の社会と思想』『憲法の条件』など。近著に『自由という牢獄』『〈世界史〉の哲学 イスラーム篇』などがある。

姜尚中(カン・サンジュン)
1950年生まれ。政治学者。東京大学名誉教授。著書に『オリエンタリズムの彼方へ』『ナショナリズム』『在日』『悩む力』『母 オモニ』『心』『心の力』『悪の力』など。