〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル![]() 作家と編集者、この役割分担〈システム〉を創始したのは、ヴェルヌとエッツェルだった。
ふたりの間をゲラが往復するたびに、作品は加筆され、修正されてゆく。綿密な草稿研究によって、野心とビジネスを内に秘めたふたりの〈冒険〉を19世紀出版事情とともに描き出す! 〈目次〉 序 第一部 第1章 ピエール=ジュール・エッツェルとロマン主義時代の出版界 —デビューから『教育と娯楽誌』の創刊まで 1 編集者とはなにか —「文学的存在性」または近代文学の両義性 2 挿絵はいかにして編集者を編集者たらしめたか 3 エッツェルのデビュー 4 〈人間喜劇〉の編集者エッツェル 5 政治の季節 6 『教育と娯楽誌』の創刊(一八六四年) 第2章 ヴェルヌとエッツェルの共同作業のメカニズム 1 ヴェルヌとエッツェルの共同作業における「分冊」の役割の変化 —ある編集システムの成立 2 「システム」の成立 2−1 〈驚異の旅〉の刊行開始まで 2−2 「システム」の成立(その二)—挿絵は誰のものか 2−3 「システム」の成立(その三)—困難な離陸 2−4 「システム」の成立(その四)—テクストとイメージの統一性を求めて 第3章 〈驚異の旅〉の舞台裏 1 執筆方法と介入様態の変化(一)—普仏戦争以前 2 執筆方法と介入様態の変化(二)—普仏戦争以後 3 往復書簡—共同作業のための距離 インタルード 〈驚異の旅〉という運動 第二部 第4章 物語と過剰 1 カニバリズム—『チャンセラー号』における現在形の描写と書くことの現場 2 カニバリズムと恋愛—『グラント船長の子供たち』 3 恋愛と政治—『ミシェル・ストロゴフ』 4 恋愛と読者—『燃える多島海』または「組み合わせ小説」とはなにか 5 未来文明への不安—『黒いインド』 6 否定されたオリジナリティとしての未来都市—『ベガンの五億フラン』 第5章 進歩に対する不安と日常の除外 1 科学の不安—『チャンセラー号』 2 知の世俗化 2−1 知の世俗化(一)—アクチュアリティと禁断の知(『地球の中心への旅』) 2−2 知の世俗化(二)—『地球の中心への旅』 3 日常の除外 3−1 日常の除外(一)—時空的近接の危険性、あるいは全員と意見を一致させること(『マチアス・サンドルフ』) 3−2 日常の除外(二)—『ミシェル・ストロゴフ』とロシアの政治的圧力 3−3 日常の除外(三)—誰でもない人の国籍 第6章 全体化と局所性 —〈驚異の旅〉における超越性と偶然 1 十九世紀西欧文学におけるイデオロギー装置としての気球 2 失効する局所性と摂理の方法的世俗化—『グラント船長の子供たち』 3 小説の主人公としての編集者—『マチアス・サンドルフ』とそれ自体局所的な地域の局所的要素 エピローグ あとがき 年譜/書誌/註/人名索引 石橋正孝(いしばし・まさたか) 書評・記事 |
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