建築家の年輪

  • 編著者:真壁智治
  • 装幀:中島雄太、取材編集協力:斎藤夕子、写真:鈴木愛子
  • 定価:本体4500円+税
  • 四六判並製/504ページ
  • 2018年6月25日 第一刷発行
  • 978-4-86528-197-2

戦後日本建築の輝かしい時代を生き抜いてきた20人。
多様なフィールドで重ねた経験と貴重なエピソードを、
第一人者たちが惜しげなく披露する珠玉のメモワール。
バブル経済崩壊以降、そして現在をいかに生きのびるのか。
建築家が素顔をかいま見せながら、心からの提言をかたる永久保存版。

かつて村野藤吾は「建築家は50歳から」と言いました。30、40はまだ修行中、50代になってようやく自分の仕事ができるようになるという意味でした。しかしその一方で、70代、80代ともなれば、誰しも〈老い〉と向き合わなければなりません。
これは必ずしも、建築家個人の問題ではありません。モダニズムを謳歌した日本の現代建築もまた、100年を迎えんとしつつあるのです。
戦後日本建築、とりわけ1960年代以降、ポストモダンの時代から現代まで、第一線で活躍している1940年以前生まれの20人。彼らはそれぞれのかたちで、丹下健三らが牽引する東京オリンピックや大阪万博などの国家的プロジェクトに携わり、やがて独立してゆきました。超高層建築、住宅、都市計画、ランドスケープ、さらにはまちづくりや保存運動。「建築家が歳を重ねて行くこと」をテーマに重ねられたインタビューから、日本建築史が立体的に浮かび上がります。

目次
はじめに
高橋靗一 建築家に歳なんて関係ない
池田武邦 僕は船乗りだったから、基本的に海から陸を見るんです
内田祥哉 そもそも構法は、構造を決心するための学問です
池原義郎 大地とか環境、そして地域の問題から目を離すことができない
槇文彦 建築というのは結局人間との付き合い、人間を考えることです
前野嶤 世界遺産の前に、まずは自分たちの身の周り
保坂陽一郎 人が集まって共同で暮らすシステム、それがどこかで壊れてしまった
内藤恒方 ランドスケープは建築のかたちまで決める
竹山実 専門職でなく誰もが建築家だとなりつつある
近澤可也 社会がリスクを怖がって、やるべきことをやらなくなった
阿部勤 建築が自分の作品なんて、真っ赤な嘘です
林泰義 今、本当に必要なのは、成長ではなくて質の転換と循環なんです
林寛治 僕はね、仕事がないのが当たり前という気持ちで独立したんです
曽根幸一 その頃、僕は博覧会の「プロ」だったんですよ
原広司 世界は自分だけでなくみんなで切り拓くから面白い
山下和正 レンガなら文句はないとフロムファーストビルをつくりました
香山壽夫 意匠の問題は、建築を志したすべての人の根本にあるもの
吉田研介 ローコストというのは縛りでも制約でもなく精神なんです
富田玲子 人が恐怖感、不安感、孤独感を感じない建築
室伏次郎 建築と人とがコミュニケートしている

建築家の年輪に想うこと 真壁智治
真壁智治(まかべ・ともはる)
1943年生まれ。プロジェクトプランナー。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。プロジェクトプランニングオフィス「M. T. VISIONS」主宰。主な著書に、シリー ズ「くうねるところにすむところ」(インデックスコミュニケーションズ、平凡社)、『アーバン・フロッタージュ』(住まいの図書館出版)、『カワイイパラダイムデザイン研究』(平凡社)、『ザ・カワイイヴィジョンa、b』(鹿島出版会)、『応答漂うモダニズム』(共著、左右社)など。