思い出しておくれ、幸せだった日々を 評伝ジャック・プレヴェール

  • 著者:柏倉康夫
  • 装幀:林哲夫
  • 定価:本体7200円+税
  • A5判上製/584ページ
  • ISBN978-4-903500-32-4 C0098

シャンソン「枯葉」「バルバラ」、映画「天井桟敷の人びと」。
パリに生きるフランス庶民のエスプリと哀感を、心に残る幾多のことばを紡ぎ出した詩人プレヴェール。
迫りくるファシズムの脅威、ナチスドイツのパリ侵攻、そして冷戦。
シュルレアリスム運動への参加を皮切りに、自由と抵抗をうたい続けて二〇世紀を生き抜いたその生涯を、交錯した幾多の芸術家たちとともにたどる。
刊行され始めた数々の資料をもとにおくる本邦初の評伝。
「枯葉」をはじめとするプレヴェールの詩の数々を、本文中で多数掲載。
長谷川宏氏(「主婦之友」2012年5月号より)
「自由気ままに生きながらまわりの人びとに心を寄せ、共に楽しく日々を過ごす。それがプレヴェールの暮らしぶりだった。俳優のジャン・ギャバンや映画監督のマルセル・カルネとの友情には素朴な信頼感と巧まざるユーモアの絶えることがなく、しかも、その信頼感とユーモアの背景には、湿っぽくも激しくもない、知的な抵抗の精神が流れている。アランやヴァレリーに見てとれるのと同質の精神が、二人よりずっと庶民的なこの詩人のうちに見てとれるのが喜ばしい。フランス文化の奥の深さを示す事実だ。
 文章がいい。柏倉康夫の悠揚迫らぬ落ち着いた文体が、軽やかな知性の人の評伝にふさわしい。装幀も美しく、わたしは読後しばらく本を手元に置いて余韻に浸っていた」

〈本書の主な登場人物〉
ルイ・アラゴン、ボリス・ヴィアン、ポール・エリュアール、ガストン・ガリマール、マルセル・カルネ、キキ、ジャン・ギャバン、レイモン・クノー、ジョゼフ・コスマ、アルベルト・ジャコメッティ、アンドレ・ジッド、イヴ・タンギー、ナジャ、ジャン=ルイ・バロー、ピカソ、ローラン・プティ、ブラッサイ、アンドレ・ブルトン、ジョセフィン・ベーカー、アーネスト・ヘミングウェイ、アンリ・ミショー、ホアン・ミロ、イヴ・モンタン、ジャン・ルノアールほか

[目次]
第Ⅰ部
幼いころ/小学校/仕事/戦後/軍隊生活/シュルレアリスム/文学と政治/性の探求/グループとの決別
第Ⅱ部
旺盛な執筆/グループ「十月」/活発な活動/新たな出会い/映画の時代/人民戦線/スペインの悲劇/マルセル・カルネとのコンビ/映画「霧の波止場」/憂鬱な季節
第Ⅲ部
第二次世界大戦/プロヴァンスの日々/ドイツ占領下の映画/「悪魔が夜来る」/抵抗のかたち/「天井桟敷の人びと」/フランス解放/「枯葉」
第Ⅳ部
詩集「ことば」/プレヴェールという現象/栄光/共同制作/仲間たち/コラージュ/一九六八年五月/短い終章

あとがき/詩索引/参考文献/口絵・地図・家系図

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 詩の朗読サイト”Vive Voix: poème à écouter”(仏語)
 (作品名/著者名/書き出し順で探せます。プレヴェールの作品は著者名順の中程)
柏倉康夫(かしわくら・やすお)
1939年東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。NHK解説主幹、京都大学大学院文学研究科教授を経て、現在、放送大学名誉教授。フランス共和国国家功労勲章シュバリエを叙勲。おもな著書に、『マラルメ探し』『生成するマラルメ』『敗れし國の秋のはて 評伝堀口九萬一』『私たちはメディアとどう向き合ってきたか』『評伝梶井基次郎 視ること、それはもうなにかなのだ』ほか。
書評・記事
婦人之友 2012年5月号 わたしの本棚 長谷川宏
週刊朝日 2012年3月2日号 週刊図書館 山川真由子
北海道新聞 2012年1月29日 インタビュー行間往来
           「“詩人”プレヴェール 交錯する人生と歴史」

図書新聞 2012年1月21日号 野村喜和夫「民衆の詩人、プレヴェール」
北海道新聞 2011年12月25日 読書面 菊地貴子「今年の3冊」
小説トリッパー 2011年WINTER 永江朗「いま読みたい自伝と評伝10冊」
週刊現代 2011年11月3日号 轡田隆史
   「人生のことば第43回 海が消し去ってしまう 砂の上の恋人たちの足跡を……」
毎日新聞 2011年10月24日 読書面
           川本三郎「郷愁と共によみがえるパリの二〇世紀」