第20回 頭文字はわずか十種類 2016.06.28 回文を長いこと作り続けていると、全部ひらがなにひらいてひっくり返して……という作業が単純に思えて飽きてくる時期がある。そんな時期に、ちょっと気分を変えてみようと作り始めたのが「アルファベット回文」。ローマ字回文と言 …
第19回 これもっと伸ばせるんじゃないか病 2016.06.10 短い回文をどんどん伸ばしていくテクニックについて前回書いたのだが、「この回文もっと伸ばせるんじゃないか?」と感じてしまうのは一種の病気で、私はもう完全にこれをこじらせてしまっている。 ある日、書店でトルストイの文字列を見かけた私は、毎度 …
第18回 回文が伸びてゆくまで 2015.07.31 抱いたし綺麗な襟足だしありえない轢死体だ 私の考えた回文の一つである。轢かれてめちゃくちゃになってしまった恋人の遺体を抱きながら、唯一生前の名残りを留めていた襟足の美しさを確認して「こんな美しい轢死体はありえない」と泣き叫ぶ、というス …
第17回 逆に読むな危険 2015.07.04 子どもの頃に誰もがやったことがあるだろう、こんな謎かけがある。「フルーツポンチを逆にするとどうなる?」。そのまま逆さに読むと卑猥な言葉を発してしまうことになるのでためらっているところ、「正解は『こぼれる』でしたー!」と種明かしする、たわい …
第16回 「ベタな回文構文」の一歩先を 2015.06.16 他人が書いた小説や作った短歌を読んでいて「うらやましい」と感じることはないが、他人の作った回文を読むと「くそっ、このパターンがあったか。なんで気付かなかったんだ」と思うことがある。私は回文をゼロから創作するものではなく、無意識の中から掘り …
第15回 永遠とカツカレー 2015.03.19 すっかり回文作りにハマってしまうと、あるタイプの言葉に敏感に反応するようになる。一字をおいて同じ字が繰り返すという形式の言葉だ。たとえば「永遠(えいえん)」、「兵隊(へいたい)」「カツカレー(かつかれー)」など。つまり、一語のなかに対称形 …