第28回 まくらとおち(さげ)の研究(承前)【最終回】 2019.10.02 演目によって、さげを自分流に変えて演じる人は多い。あまりにも結末が暗すぎて悲惨だと、救いがあるように脚色をする。「唐茄子屋政談」や「浜野矩随(はまののりゆき)」などがその例だ。 グリム童話から三遊亭円朝(初代)が翻案したといわれる「死神 …
第27回 まくらとおち(さげ)の研究 2019.09.18 落語にはまくらが付き物だ。落語に限らず、商談にしても会議、陳情にせよ、いきなり本題に入ることはない。単刀直入という言葉もあるが、時候の挨拶とか近況などを冒頭に振るのが普通だ。手紙やスピーチも同じだ。小説やエッセイでも書き出しの冒頭部分に多 …
第26回 「おこつく」と「弥蔵を組む」 2019.09.04 ◎「おこつきながら」蔵のなかへ…… さる大ホールの落語会で、柳家さん喬の「たちきり」を聞いた。芸妓を座敷に呼ぶ料金を玉代(関西では花代)というが、昔から時間制で今なお続いている。その時間を計るために、線香が用いられていた時代の噺だ。まあ線 …
第25回 立て引き 2019.08.07 洋の東西を問わず大都市と川とは、歴史的にも地政学的にも密接な関わりがある。パリとセーヌ川、ロンドンにテームズ川、ニューヨークにはハドソン川と来れば、もちろん東京(江戸)は大川(隅田川)だ。江戸時代、大川の河口付近は堀川が縦横に張り巡らされ …
第24回 そっぽがいい 2019.07.24 近頃ではあまり耳にしなくなったが、昔はよそ見をしたり、あらぬ方向を見ていると、「そっぽを向いてるんじゃない」と怒られたものだ。もともとは「そっぽう」で、歳月とともに「そっぽ」に転化したと考えられる。『日国』によると、そっぽうの語源と歴史的 …
第23回 相撲の落語 2019.07.10 日本語で「花」といえば桜を指す場合が多い。約束ごとといってもいい。花篝(はなかがり)は、夜桜を照らすための篝火だ。花風は桜の花や枝を揺らすそよ風だが、花びらを舞わす強い風を指すこともある。花の香は桜の花の香りで、もちろん春の季語だ。花の蔭 …