AERA(10月17日号)にて森永卓郎さんに『〆切本』をご紹介いただきました。

AERA(2016年10月17日号)BOOKコーナーにて、『〆切本』をご紹介いただきました。評者は森永卓郎さんです。

読まずにはいられない
本書の感想こそあなたを映し出す鏡


 レオナルド・ダ・ビンチの「モナリザ」の微笑は、観る人の心情によって表情を変えるという。観る人の心を映す鏡なのだ。本書も同じだと、私は思う。
 本書は、多くの作家が〆切に関して書いた文章を蒐集、整理したオムニバスだ。プレッシャー、呻吟、絶望、言い訳、希望、達成感など、〆切にまつわる様々な心情や対処法が濃密に語られている。これをみて、同情する人、愉快に感じる人、不安を感じる人、優越感を覚える人など、感じ方は、人によってまったく異なるのではないか。ちなみに、私が感じたのはただ「反省」の一言だった。
(中略)
 本書に登場する作家たちは、自分の作品に強いこだわりと高いプライドを持っている。だから、少しでもよい作品に仕上げようとのたうち回る。谷崎潤一郎が『文章読本』を出版するとき、校正中に内容の不満を覚えて、前面改訂を思い付き、発売自体を延期させたエピソードは、まさに作家の強い責任感の表れだ。
 だから、私が〆切を一度も落としたことがないことは、何の自慢にもならない。私の無責任さを象徴しているからだ。私は、猛烈に反省した。自分の作品には、もっとこだわらないといけない。だから、この書評も、推敲をして、最期にもう一度繰り返しを付け加えた。
 この本から読者が受ける感想は、読者の仕事への姿勢そのものだ。だから、この本を鏡として、あなた自身の仕事に対する態度を見つめ直して欲しい。もしかすると、恐ろしい姿が映っているかもしれないのだ。

森永さん、ありがとうございました! 読む人の心を映す『〆切本』は、全国書店、インターネット書店にて大好評発売中です。