週刊金曜日にて『〆切本』を紹介いただきました。

週刊金曜日2016年10月7日号のブックコーナーにて『〆切本』が紹介されました。

名だたる文筆家の「書けない」弁解

なんとか一字二字書き出したもののどうしても気が乗らない。書き手としての矜持と期限のデッドラインの狭間できりきりと気を揉む田山花袋の姿は、〆切病の典型といったところ。たいていは自虐まみれの言い訳を連ねるケースが目立つが、中には横光利一のように〈書けないときに書かすということはその執筆者を殺すことだ〉と逆切れをかます強者もいる。大岡昇平の息子が〈終始うそをついてあやまってばかりいなければならないから〉お父さんのようになりたくない、と答えるくだりには比喩でなく胸が痛くなった。
そこまでも「作家」らしいのは内田百閒。原稿料を前借りして書いていたはずがいつのまにかあさっての方向に脱線していく様子をユーモアたっぷりの極上エッセイに仕立てる。柴田錬三郎にいたっては、なんと連載小説まるまる一回分のページの空白をすべて「書けない」弁解で埋め尽くす荒業を発動。ギリギリで原稿を受け取った編集者がその場で読まずに印刷所へ走る習性を利用したわけだ。いやはや、なんとも心強い(?)。
とはいえ、釘を刺すのも忘れない。〈仕事はのばせばいくらでものびる。しかし、それでは、死という締切りまでにでき上がる原稿はほとんどなくなってしまう〉(外山滋比古)―ひいい。


ご紹介してくださったのは、ライターの倉本さおりさん。ありがとうございます!