「人間中心主義への徹底的批判」『おはぐろとんぼ夜話』書評掲載

発売中の図書新聞2017年6月17日号に、丸山健二著『おはぐろとんぼ夜話』の書評が掲載されました。評者は文芸批評家の小林広一さん。
「人間中心主義への徹底的批判」
現代はさまざまな観念論がはびこっているが、さて、では、われわれは自分というものを超えて客観的な真理への到達をなしとげているのであろうか。そう問うならばまずこの物語を読むことから始めたい。
この物語の語り手の「私」は、あるのどかな山間地の川で客を乗せて往来する屋形船である。舟はちっぽけな存在感を限界まで強調してみせるという意味を込めて、「おはぐろとんぼ」と命名され、人間たちのさまざまな人生の限界や空疎さを鋭くついていく。相棒である船頭、舟主は、軽い知的障害を負った大男で、並外れた好人物であるが、彼の生きざまは、世に溢れる観念論や厄介な様相を帯びる世相とは好対照になっている。ということは、作品上では相補的な役割をしていることになるのだろうか。だが、いつまでたっても「私」は明確な世界観に到達できないし、生の意味を体得できない。では「私」は、懐疑論者か、世捨て人か、重病人なのか。(略)

丁寧に評してくださり、ありがとうございました。

「複眼の文節を鎖列として構成する聖社会学」『おはぐろとんぼ夜話』書評掲載

「週刊読書人」2017年5月19日号に、丸山健二著『おはぐろとんぼ夜話』の書評が掲載されました。評者は文芸批評家の岡本勝人さん。
「複眼の文節を鎖列として構成する聖社会学」
丸山健二の詩小説は、一見破形の美による詩章の語りともとれるが、そこには、社会の構造のなかに人間の多様な生態がリアルに、あるいは比喩的に書きとめられている。それらは、社会的存在としての人間の生態だけでなく、動植物や昆虫との自然と反自然とのつながりをも映し出していて、現代を生きる人間とは何かを語らずにはいない。作者は此岸から彼岸をみる。登場人物の心性と外界の描写には、現代社会の現象がちりばめられている。屋形船の複眼から眺められるのは、現代の風景である。(略)

「混迷した世界との対決と緊張感が絡み合う、自然と社会と聖なるものの社会学を語る遠大な幻想的文学である。」
とも。ありがとうございました。

『高校生と考える人生のすてきな大問題』、陣野俊史さん評

2017年4月20日付の日本経済新聞夕刊、目利きの選ぶ3冊コーナーで、『高校生と考える人生のすてきな大問題』を文芸評論家の陣野俊史さんにご紹介いただきました。
神奈川県にある桐光学園が面白いことをやっている。土曜日に「大学訪問授業」を行っているのだ。生徒たちは普段は大学で教えている先生の講義を聴く機会を得る。講義録が本になった。3冊目だという。
この企画の肝は、誰の講義を聴きに行くか、に尽きる。3冊目に登場する「教授」は、田原総一朗や竹宮惠子、加藤典洋、佐伯啓思といった、いわばお馴染みの著名人もさることながら、たとえば、詩人でドイツ思想研究者の細見和之や、小説家でフランス語圏文学研究者の小野正嗣が、高校生に話をしているのがいい。正直、10代で彼らの話を聞けていたら!と羨ましいかぎりだ。できれば若者との質疑応答をもう少し読みたかったかも。

評は★★★★です!
ありがとうございました。

朝日新聞「折々のことば」にトミヤマユキコさんの言葉が掲載されました。

2017年4月16日の朝日新聞「折々のことば」で、『大学1年生の歩き方』著者のトミヤマユキコさんの一行が紹介されています。
なんでも食べられるという利点が、エサみたいなビジュアルのガッカリ飯を生み出す。
哲学者、鷲田清一さんの朝刊コラムにてご紹介いただきました。
全篇はこちらからお読みいただけます。

『〆切仕事術』の上阪さん著者インタビューが掲載されました

サイト「WEDGE Infinity」に、『〆切仕事術』の著者・上阪徹さんのインタビューが掲載されています。

――私たちの仕事もそうですが、書く仕事において〆切りは絶対で、破る人がいるとはにわかに信じられないのですが。

上阪:平気で破る人がいるのは確かです。私には正直、守れないという感覚がわかりません。〆切りを守っていると良いことばかりです。催促にびくびくしなくていいし、コミュニケーションも円滑になる。ストレスもない。利点ばかりですから、守ったほうが余程いいのにと思います。
「〆切りに追われるよりも追いかける方がずっとラクですよということを多くの人に知ってもらいたいと思いました」という上阪徹さん。文章を書く仕事に限らず、上阪さんから学ぶことはきっとあるはず!
2017年3月31日掲載、聞き手は中村宏之(読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員)さん。全篇は下記でお読みいただけます。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9238

「現代詩手帖」野村喜和夫さんの特集に吉田文憲さんの『芭(塔(把(波』論が掲載されています

発売中の「現代詩手帖」2017年4月号、特集「野村喜和夫と現在」に、吉田文憲さんによる『芭(塔(把(波』論が掲載されています。
音とは何か。それを表記する漢字とは何か。またその傍らの小さなカタカナ、ルビとは何か。ルビを野村氏は「微小な翻訳空間」といっている。これがこの詩集の一つの発見だともいえようか。(略)象徴的にいえば、この、

芭(塔(把(波

の、こういってよければクレオール的な混成言語、翻訳言語、漢字の問題、その表記のズレとルビのあいだを旅したのである。
本特集の目次などは、思潮社のHPをご参照ください。

『高校生と考える人生のすてきな大問題』がブログ「私立学校研究」で紹介

神奈川県の私立桐光学園で行われた連続特別講義をもとに書籍化され、高校や中学の現場に立つ先生たちにもよく読まれている『高校生と考える〜』シリーズ。2017年3月末刊行の最新刊『高校生と考える人生のすてきな大問題』が、私立学校研究で知られる本間勇人さんのブログ「私立学校研究(C)ホンマノオト」で取り上げられています。

☆400ページ強の圧巻の書であるが、もう15冊目。この授業は20年弱実施しているのだろう。継続は力なりではもちろんあるが、何より知の最前線の歴史的変遷がわかる貴重な日本の知の最前線史の資料としての価値もある。

☆これは、東大や京大の大学入試問題を分析していく過程でもわかるのだが、桐光の「大学訪問授業」の資料の方がダイレクトだし、その量も多い。なんといっても多様な分野の授業が行われているから、横断的な視点の進化過程も了解できる。

☆いずれもおもしろい授業なのだが、森田真生氏の数学が人生の活路を開き世界を変えてしまう話は最高。放物線を見て、そこからデカルトが帝国から近代社会にパラダイム転換する世界を生み出す話など、数学嫌いの私でもワクワクする。

☆中学数学の教科書は、19世紀末までの数学の標本で、高校の数学教科書になると19世紀末に生まれた現代数学以降の標本であるなんて発想に行きつくところもスリリングだ。数学的思考が歴史の次元をヴァージョンアップさせてきたなんてことが、教科書を眺めてかなたに見えるなんてなるほど人生のすてきな大問題だ!

☆それから、内藤千珠子氏の≪見えない暴力と「私」の居場所≫が、これまたスリリング。かつて「普通」だと思われてきた領域が縮小し、その「普通」を保守するために、「普通」からはみ出した領域の人々を排除する≪見えない暴力≫の存在を暴露していく。

☆世界を変えるというのは、変えたいからという欲望からでてきているのではない。変えなければならないのっぴきならないニーズがいまここに顕れているからなのだ。その世界の痛みを引き受ける知性の塊がこの大学訪問授業であり、その書である。

「私立学校研究」2017年4月1日:クリエイティブクラス≪05≫ 桐光の知 世界の痛みを引き受け数学的思考で新しい世界を開く

本間勇人さんは、日能研でカリキュラム開発、評価開発に携わったのち、NTS教育研究所を設立、私立教育を中心にブログで情報発信、評論活動を続けている第一人者のひとりです。ご紹介ありがとうございます。

『障がい者の就活ガイド』日本経済新聞夕刊に短評掲載

企業の人事課や、行政の担当部署などからもお問い合わせいただき、好評発売中の紺野大輝著『障がい者の就活ガイド』の短評が、日本経済新聞に掲載されています。
2017年2月16日夕刊の「目利きが選ぶ3冊」、中沢孝夫先生があげてくださいました。

民間企業で45万人の「障がい者」が働いていると本書。それは暮らしのためだけではなく、人々の生き方とかかわっている。各自にできること、得意なことがある。

ありがとうございました。

新潟日報「気になる一冊」に『〆切本』の紹介

新潟日報(2016年11月26日付) 上越かわらばん「気になる一冊」にて『〆切本』をご紹介いただきました。

一日でも〆切を延ばしてほしいあまりに飛び出した嘆きや愚痴・文句…読めば読むほど開き直りにしか読めない文章の数々。しかし、その文章が人間味あふれ、作家が急に身近に感じられるようになりました。〆切に追い詰められ妄想を繰り返す様子はクスッと笑えました。
こんな言い訳や手紙をすらすら書くのなら、作品だって同じように書けるのでは? と素人である私は思ってしまったのですが、文筆家たちの作品へのこだわりが苦しみとなっていることがよく分かる本でもありました。
この苦しみがあるからこそ、大作やベストセラー作品を生み出せるのではないかとも思いました。
作家でなくても、子どもの頃は宿題の提出、学生ならリポートの提出に追われたことはよくあるでしょう。大人になってからは、報告書や会合の出欠など何かにつけて〆切と付き合う日々です。やり始めればすぐ終わるのに、ぐずぐずして…なんて経験も多いはずです。
だからこそ、作家の切迫した苦しみが、わがことのように共感できるのだと思います。この本は、〆切があるから頑張れることを教えてくれる作品となっています。「人生とは、〆切である」(最終章題)。(JPIC読書アドバイザー 朝日仁美)

ご紹介ありがとうございました!