中島京子さんが『スワンプランディア!』を書評してくださいました
2013年10月6日の毎日新聞に、作家の中島京子さんによるカレン・ラッセル『スワンプランディア!』評が掲載されました。
「外の世界と接触しないから、すばらしい進化を独自にとげる」とチーフが自負する「島」の特異性と、十三歳という語り手の年齢が、お伽噺めいた設定に自然になじむ。児童からティーンエイジに変わる年頃は、真水と海水が交わる沼地に膨大な生物が棲息するように、現実と作り話が混在する世界を描き出すのに最適なのに違いない。小説は途中で、「わたし」の語りと兄キーウィの語りに分岐する。ハイティーンのキーウィが「外の世界と接触」したがために味わう痛みとおかしみの数々が描かれるとき、「わたし」の世界の特殊さは、より鮮明に浮かび上がってくる。 「読みはじめのとば口では、子供たちも楽しめそうなユーモラスな語り口から、ここまで深い小説世界にいざなわれるとは思わなかった」という長篇小説。読む人それぞれの家族のこと、自分の少年・少女時代のことを思い起こさせるような力を持った1冊です。 ご紹介ありがとうございました! |