温水ゆかりさんに『スワンプランディア!』を書評していただきました。

「信濃毎日新聞」の11月3日書評面に、温水ゆかりさんによる『スワンプランディア!』の書評が掲載されています。
この物語にはふたつの層がある。上の層にあるのは、両親の庇護という翼の下にいた雛たちの気づきと巣立ち。代償は決して安くない。同世代カルチャーに接したことがなく、働き始めた巨大テーマパークで“キモい男”扱いされるおっとりした兄、幽霊の花嫁になるべく密林の奥へ消える乙女の姉。エーヴァが支払う代償にはとりわけ胸が痛む。突然現れた“鳥男”と一緒に湿地帯に分け入り、姉を探す彼女の無防備さ。「あの世」があるかもしれないと思うほど、彼女はまだ幼い。
もうひとつは、逸材とされるフロリダ出身の著者が底流にした層。乱開発が土地に刻んだ記憶、巨大資本が人の暮らしという資源まで収奪していくなどを、現代の神話として描く。意図的に深刻さを避けて。二層が混じり合うところに、ユーモア、悲哀、滑稽が渦巻く。
エデンの園を追放された家族は再会できるのか? 兄の果たす役割にご注目を。まるで映画「フォレスト・ガンプ」。規模は小粒でも、なんだかとても幸せな気持ちになるのである。

本書は、まさに「悲哀と滑稽渦巻く現代の神話」と題していただいたとおりの骨格の大きなストーリーです。
ご紹介ありがとうございました。