「現代詩手帖 年鑑2014」に『芭(塔(把(波』書評記事が掲載されています
「現代詩手帖」2013年12月号、〈年鑑2014〉号に、野村喜和夫さんの詩集『芭(塔(把(波』の書評が掲載されています。評者は安智史さん。
「すばる」2007年4月号から断続的に、金子光晴の軌跡を追うマレー半島の旅を鈴村和成氏とのデュオで掲載した、その再編成と断章による詩集。しばしば金子テクストの断章も挿入される。ただし、金子の書きとめた〈瘴癘蛮雨〉のむせかえる地というより、むしろ〈穏やかな暑熱にとろけて〉しまうような、それだけ軽快な、足早の移動ともいえる。 年鑑中では、巻頭鼎談(吉増剛造さん、瀬尾育生さん、佐藤雄一さん)でも触れられています。 佐藤「ほかに注目した詩集として、野村喜和夫『芭(塔(把(波』があります。金子光晴のテクストが入り混じった紀行文です。金子光晴の『ねむれ巴里』で中国人の肛門が同じ匂いで「同糞同臭」だという記述がありますが、そういう身体レベルで主体性を貧食されながらコスモポリタンに生成変化し、かつテクストレベルでも金子光晴に貧食されるという詩ですね(以下略)」また、中本道代さんの詩書展望2013「私たちの風土」に特に強く心に残っている詩集の1冊として、「アンケート 今年度の収穫」では石田瑞穂さん、新藤凉子さん、鈴村和成さん、田原さん、浜江順子さん、松岡政則さん、森川雅美さん、八木幹夫さん、谷内修三さん、吉田文憲さん、渡辺めぐみさんに挙げていただいています。 「金子光晴〈紀行詩〉である。バト・パハという言葉のリズムがキワオさんの脳神経を刺激し、連打する。この詩の別バージョン(散文とは言うまい。詩と散文の別など、いまさら不用だろう。金子さん曰く、自分の詩は「詩のような形をしている散文なのだ」)、より紀行文に近いバージョンが、近く刊行される『金子光晴デュオの旅』(未来社)の「マレー、水の流れる」で読まれるから、ご期待あれ」(鈴村和成) |