『視触』の書評が掲載されました

美術批評家で近現代美術史、デザイン史が専門の高島直之さんによる、矢萩喜從郎『視触』の書評が「図書新聞」に掲載されました。

(前略)第二章の武満徹、J・ケージ、第三章のI・クセナキス、槇文彦、鈴木恂、第四章のナチズムと映画、スターリニズムと東欧、中南米の先住民文化、第五章のC・ロウ、和辻哲郎、谷崎潤一郎、第六章のA・ロトチェンコ、早川良雄、H・トマシェフスキ、R・サヴィニャック、というそれぞれの論及には興味深いものがある。
 というのも、ここには20世紀における、実験芸術の要諦が、政治-芸術権力の負性が、日本文化論の行方が、そしてアート&デザインの境界のアポリアが示され、問題提起されているからである。(略)

ファシズムやスターリニズムを嗅ぎ分ける「障りの感覚」の可能性、そしてコミュニケーションの回路が透明なあり方においてこそ可能となる民主的社会。そこで自分の見たものが「本当に自分が見たもの」なのか、を自らが鋭く疑う著者の表現者としての態度に、きわめてアクチュアルなものを感じる。若いアーティストに読んで欲しい書である。

掲載は「図書新聞」2014年6月21日号です。