毎日新聞文化面に『日本人論争 大西巨人回想』の記事が大きく掲載されました

毎日新聞夕刊(2014年8月19日号)の文化面において、『日本人論争 大西巨人回想』が大きく記事になりました。

巨大な知性に迫る集成

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 800ページの大部。なかでも創作の背景がうかがえて貴重なのは、長男で作家の赤人さんによるインタビューだ。第一部「要塞の日々」では、太平洋戦争で召集された長崎県対馬要塞の重砲兵時代を振り返る。
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 その語り口は、超人的な記憶力で上官らの論理矛盾を突く『神聖喜劇』の主人公、東堂太郎をほうふつさせる。赤人さんは「巨人は詳説との混同を嫌ったが、確かに東堂に近かった。例えば、私の子供時代に食後すぐにコーラを飲まないと約束させられ、何ヶ月かたって私がそれを破ると、『お前は何月何日に約束したじゃないか』と、強権ではなく理屈でやられる。迷惑極まりなかった」と笑う。
 本書では、既に生ける伝説として取材者たちの遠慮が目立っていた最晩年の巨人に、赤人さんがしつこく時系列や事実関係を聞き出している。

 編集を手伝った立教大助教授の石橋正孝さん(フランス文学)は東大生時代に『神聖喜劇』を読んで衝撃を受け、99年に仲間と巨人宅を訪ねた。
 「巨人は最強の敵である日本の支配権力から目を離さずに文学を作り上げた。それは教条主義的に批判するのではなく、敵である軍隊をも愛して普遍化し、暴力に負けない構造物を言葉で独立させようとしていた」と分析する。

巨人は晩年、「今の日本の空気は満州事変前と似ている」と繰り返していたという。赤人さんは「この本は蟷螂の斧かもしれないが、『こんな考えもあるのか』と、読者にとって化学反応の触媒のように機能してくれたらうれしい」と話している。

ご紹介頂きまして、ありがとうございました!
日本人として今を生きるすべてのひとに、読んでもらいたい1冊です。