書評『工作舎物語』、大月隆寛さん。

2015年2月1日の産經新聞読書面に、民俗学者の大月隆寛さんによる『工作舎物語 眠りたくなかった時代』の書評が掲載されています。

工作舎、という名前で反応できる、してしまう向きは言うに及ばず、すでに歴史の過程と距離感を持つ若い衆世代にとってはなお、おのれの現在からどう「これまで」を地続きにしてゆくか、そのための器量が試される1冊である。
1970年代半ば、東京の片隅に宿った小さな集団。編集とデザインとを同じ場でひっくくっちまおうという当時としては蛮勇、後に大きく羽ばたいてゆく流れを先取りしたグループ。松岡正剛と杉浦康平、この2枚看板で語られるのが通例だが、ここはその周辺と後続の衆、戸田ツトムや羽良多平吉から祖父江慎などに合焦させた取材ベースで進行。その分、初発の何でもありの熱気とその後の転変との距離まで期せずうかがえる。
(中略)
描かれなかった領分の奥行きとその底知れなさに気づけるかどうかも活字の愉しみ。そう、本書がぼやかす90年代から〈いま・ここ〉に至る地続きの未踏路をこそ、それぞれ見通してゆくこと。それが、すでに「失われた20年以上」になんなんとするわれらニッポンの腑抜けたブンカ状況に風穴開けて青天井見晴らす糸口になる。

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