『夢の夜から 口笛の朝まで』、読売新聞文芸月評欄に紹介

読売新聞の文化面、今月の文芸月評の欄で、丸山健二『夢の夜から 口笛の朝まで』が紹介されています(2015年5月26日付)。

鬼が書いた作品とでも呼びたい驚くべき小説だ。

蔓でできたあの橋を渡れば、新しい出会いや人生が待っているといった甘い物語ではない。老いた女性、父親との別れを欲する息子など、様々な事情を抱えた人物が登場し、多くは死が絡むことになる。

本作では死は必ずしもつらいものではない。かといって死を悲しまないことを強調する幼稚な自己顕示もない。ただ橋を取り巻いて若草は萌え、台風は吹き荒れ、月は照る。現代詩のように自由自在な行替えの形式と硬質な言葉遣いが、鮮やかな像を焼きつける。