毎日新聞に丸山健二さんのインタビューが掲載されました

2015年6月7日付の毎日新聞読書面に、新刊『夢の夜から 口笛の朝まで』を刊行した丸山健二さんのインタビューが掲載されています。

語り手は橋だ。山中の限界集落の入口にかかる、蔓でできた吊り橋。橋は、自らの上を渡っていく村人の生の不条理を見つめ、徹底的に思索を巡らせる。動けず物言わぬ橋だが、人を見る目は親愛の情と好奇心でいっぱいだ。子供のよう。「『純粋』の権化ですね。ナルシシズムではなく、他者を愛するのが俺の文学です」

(中略、「今宵、観月の宴に」について)
決して国民を守らない権力の正体を、橋と月が繰り返し警告する。「世界をトータルで見るために、俺は政治も経済も天文学も全部入れる。俺たちは残酷な世界に生きている。そこにこそ本当の感動があるんじゃないか」

文章は数行が一塊となり、その中で左下がりにレイアウト。濃密な文体ゆえの工夫だ。「普通に組むと圧迫感がある。それでも読みこなせる人は少ないでしょうが」。気楽にページを繰っても、なかなか頭に入ってこない。乗りこなせない。車に例えれば、ハンドルにもアクセルにも遊びがゼロのレース車だ。「文学の鉱脈は無限だが、岩盤は硬い。俺の文章はそこを掘るための削岩機ですから」