「建築士」10月号に『応答漂うモダニズム』書評が掲載されました

日本建築士会連合会発行の会誌「建築士」2015年10月号に、槇文彦・真壁智治編著『応答漂うモダニズム』の書評が掲載されています。評者は、社会学者で都市建築論などが専門の南後由和さん。

応答者の年齢の幅は、じつに50歳以上。モダニズムが一枚岩ではなく、それをどの時代、場所で受けとるかによって異なる様相を帯びるがごとく、17名の応答は、槇のテクストをプリズムとして、モダニズムの軌跡とこれからの建築の航路をさまざまに照らし出している。
17名の応答もそれぞれに読み応えがあるが、とりわけ槇による再応答は、応答者全員に新たな文脈を付与しながら言及しており、刮目すべきものがある。槇は世界を大海原に喩えたが、ここではテクスト(織物)の喩えを持ち出してみたい。人類学者のティム・インゴルドによれば、テクストとは、無数の絡み合う糸からなる、織る、編む、解くという運動と分かち難く結びついている。糸は伸び続ける先端をもち、ときに別の糸とともに結び目をつくる(ティム・インゴルド『ラインズ 線の文化史』)。本書は、まさにテクスト「漂うモダニズム」をもとに17名が紡ぎ出したさまざまな糸を、槇が再び手繰り寄せ、それらの関係性を結び目として形づくりながら、新たなテクストとして編んだ書物だと言えるだろう。
(略)
槇の生と、そこに自らの生を織り合わせる応答者たちとの運動が本書には織り込まれている。

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「建築士」は、日本建築士会連合会に所属する方に配布される会誌ですが、建築会館などでも購入することができます。