管啓次郎さんによる『我ら亡きあとに津波よ来たれ』書評が掲載されました
2016年3月6日の東京新聞読書面に、丸山健二『我ら亡きあとに津波よ来たれ』の書評が掲載されました。評者は管啓次郎さん。
ほの見えてくるのは津波のあとの情景だ。一面の破壊の中、最初は生死もわからない三十歳の男の意識が体験を語り出す。ついで行動がはじまる。茫洋とひろがる瓦礫の土地に他に人はいない。打ち上げられた船を発見し物資を確保する。家を発見し、死体を発見する。埋葬する。そして・・・。季節と状況の設定からして、これは東日本大震災を直接に背景とするものではない。むしろその具体的経験をもう一度、古今東西の人間世界の普遍性の中に投げ込もうとする試みだ。 ありがとうございました! |