東直子さんによる『桜前線開架宣言』評。

発売中の図書新聞2016年4月2日号に、歌人の東直子さんによる『桜前線開架宣言』評が掲載されています。
短歌は、まず歌会に出し、同じ場を共有する者のリアルタイムの批評にふれ、次に結社誌や同人誌、商業誌に掲載後、歌集に収録することでいったんゴールとなる。だがその後、様々な批評やエッセイ等での引用、アンソロジーでの再収録、さらにはツイッターなどウェブサイトへのアップロードなど、新しい展開が待っている場合がある。歌会、雑誌、歌集、引用と、それぞれの場で同じ一首が違う響き方をする。そうしてより多くの人の目に触れる機会を得た歌が愛唱歌となり、人々の記憶に刻まれていくのである。小高賢さんが編んだ『現代短歌101』『現代の歌人140』が長らくアンソロジーのスタンダードとなっていたが、今後『桜前線開架宣言』は、さまざまな場所に時代を映した短歌が羽ばたいていくための新たな基盤となっていくだろう。
とにかく一人一人につけられた解説が、とてもいい。アンソロジーの解説といえば、プロフィールをふくらませたような辞書的な役まわりのものが多いのだが、この本では、現代短歌の流れを汲んだ歌人論であり、時代論なのである。
(略)
「だから何だよ!」「ファンキーな感覚」「地方都市のヤンキー層」「承認欲求」といった言葉は一般的に使われることはあっても、短歌の批評用語として使われるのは他に見たことがない。これら今日的な言葉を駆使しつつ、基本的にテンション高く情熱的に短歌を語り続ける。
ありがとうございます!
「短歌の本を初めて手に取る人の心も巻き込まれていく仕掛けが随所にあり、実に心憎い一冊である」とも評していただきました。本書が、短歌に新たにふれる一冊となればうれしいです。