『高校生と考える人生のすてきな大問題』がブログ「私立学校研究」で紹介

神奈川県の私立桐光学園で行われた連続特別講義をもとに書籍化され、高校や中学の現場に立つ先生たちにもよく読まれている『高校生と考える〜』シリーズ。2017年3月末刊行の最新刊『高校生と考える人生のすてきな大問題』が、私立学校研究で知られる本間勇人さんのブログ「私立学校研究(C)ホンマノオト」で取り上げられています。

☆400ページ強の圧巻の書であるが、もう15冊目。この授業は20年弱実施しているのだろう。継続は力なりではもちろんあるが、何より知の最前線の歴史的変遷がわかる貴重な日本の知の最前線史の資料としての価値もある。

☆これは、東大や京大の大学入試問題を分析していく過程でもわかるのだが、桐光の「大学訪問授業」の資料の方がダイレクトだし、その量も多い。なんといっても多様な分野の授業が行われているから、横断的な視点の進化過程も了解できる。

☆いずれもおもしろい授業なのだが、森田真生氏の数学が人生の活路を開き世界を変えてしまう話は最高。放物線を見て、そこからデカルトが帝国から近代社会にパラダイム転換する世界を生み出す話など、数学嫌いの私でもワクワクする。

☆中学数学の教科書は、19世紀末までの数学の標本で、高校の数学教科書になると19世紀末に生まれた現代数学以降の標本であるなんて発想に行きつくところもスリリングだ。数学的思考が歴史の次元をヴァージョンアップさせてきたなんてことが、教科書を眺めてかなたに見えるなんてなるほど人生のすてきな大問題だ!

☆それから、内藤千珠子氏の≪見えない暴力と「私」の居場所≫が、これまたスリリング。かつて「普通」だと思われてきた領域が縮小し、その「普通」を保守するために、「普通」からはみ出した領域の人々を排除する≪見えない暴力≫の存在を暴露していく。

☆世界を変えるというのは、変えたいからという欲望からでてきているのではない。変えなければならないのっぴきならないニーズがいまここに顕れているからなのだ。その世界の痛みを引き受ける知性の塊がこの大学訪問授業であり、その書である。

「私立学校研究」2017年4月1日:クリエイティブクラス≪05≫ 桐光の知 世界の痛みを引き受け数学的思考で新しい世界を開く

本間勇人さんは、日能研でカリキュラム開発、評価開発に携わったのち、NTS教育研究所を設立、私立教育を中心にブログで情報発信、評論活動を続けている第一人者のひとりです。ご紹介ありがとうございます。