山本貴光さんのソルニット『ウォークス 歩くことの精神史』評が掲載されました

2017年8月25日売りの「週刊読書人」に、山本貴光さんによる、R・ソルニット『ウォークス 歩くことの精神史』評が掲載されました!

人類はこれまで歩行で何をしてきたか。
この洞察に充ちた楽しい本で、レベッカ・ソルニットが探求している課題を一言でいえばこうなろうか。いや、なにをしたかもなにも、歩くといったら移動でしょう。と言いたくなったとしても無理はない。
歩行はありふれている。それだけに、なにかのきっかけでもなければ、わざわざ考察しようという気にならないかもしれない。実際、日々歩く際にも、私たちは多くの場合、手足をどう動かすかだなんていちいち意識しない。
だが、一歩近づいてみると、これほど捉えがたく興味の尽きない行動もない。人類はこれまでどう歩いてきたか。そう問うた途端、対象はヒトが二足歩行を始めた先史時代から現在までの人類の全史だと気づく。
(略)
『ウォークス 歩くことの精神史』は、全一七章のどこから読んでも楽しめる。ただし最初は第一章をゆっくり味わうのをおすすめしたい。というのも、人が歩くときに起きていることを、これほど見事に捉えた文章にも滅多にお目にかかれないからだ。
(略)
これだけ多様な歩行を一冊の書物で見比べられるのも、ひとえに驚異的な資料の博捜あってのこと。加えてソルニット自身、よく歩く人であり、その姿は本書全体でも見かけられる。厖大な知を存分に活用しながら、時に歴史的、時に哲学的に歩行やその条件を眺め味わう。かといって頭でっかちにならず、紀行文を読むのにも似た喜びがある。ソルニットに連れられての散歩は格別である。

ありがとうございます! 「いやはや、それにしても歩くことに、こんなにも多様な側面があるなんて! 本書を一読すれば、ありふれて見えた歩行の一つ一つが、その環境が、俄然興味あるものに変わること請け合いである」とまとめていただいています。