孫崎享さんのソルニット『ウォークス』評が掲載されています

「週刊エコノミスト」2017年9月5日号の「読書日記」で、元外交官の孫崎享さんによる、レベッカ・ソルニット『ウォークス 歩くことの精神史』評が掲載されています。

私はジョギングを約45年続けてきた。過労か、足の親指の周辺に異常を来たし、今はジョギングを中断して皇居周辺を歩いている。急にウォーキングに関心が出たところで、レベッカ・ソルニット著『ウォークス』に出合った。著者は『ウトネ・リーダー』誌で「あなたの世界を変える25人の思索家」に選ばれたこともある作家だ。
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徒歩に向かう動機にはいろいろある。通常、健康との関係で、徒歩が評価される。英国の貴族は徒歩を行うために英国式庭園を造り、領地を拡大した。他方、英国では産業革命後、都市の人々は劣悪な環境の中で生活する。そのはけ口として労働者は日曜日、山野に脱出した。
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速度という至上価値の下では徒歩に価値はない。雲を眺める、そぞろ歩きをする。そういうことに価値を見いだす人がいたら、この本で知的なウィンドーショッピングをし、知的なそぞろ歩きを楽しめるだろう。なにせ、全517ページ。見渡すものは山のようにある。

ご紹介、ありがとうございます!
ときに産業革命以来の労働の歴史を遡り、はたまた数百万年前の人類の進化史にわけいり、他方で来るべき都市のデザインを思い描く。速度と移動とにはとらわれない、本書の自由で大胆なそぞろ歩きを多くの方に楽しんでいただければと思います。