陣野俊史さんによる『静かな夜』評

 2012年3月19日発売の「サンデー毎日」4月1日号に、陣野俊史さんによる佐川光晴『静かな夜』の書評が掲載されています。

 佐川光晴という作家は、人物を動かす作家だ。どんな小説も、登場人物が動いて物語が成立すると思っている読者は多いかもしれないが、人物が動かない小説だって、結構数多い。そんな中、佐川の小説には、つねに動きがあり、そしてその動きをしっかりと支える文体がある。

 表題作は、二人のタイプの違う母親の関係性を描いて秀逸。どんどん悪い方向に転がる展開に気をもみながら読み進むと、不思議なテイストのラストに。ここを読者はどう読むか。判断を問われるところだ。

 大学寮の青春って(「二月」「八月」は北大恵迪寮が舞台)、えらく古臭い言い方になるが、佐川は懐かしがって書いていない。そこが面白い。

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