『静かな夜』書評情報

 佐川光晴作品集『静かな夜』に、静かな反響が続いています。
 3月25日付「西日本新聞」書評面では、作家の原口真智子さんが取り上げてくださいました。

 これまでの佐川作品とはかなり色合いが違う4篇が収められていて興味深かった。(略・「二月」「八月」について)時はバブルへの坂道を駆け上がっている頃と思われるが、主人公は家庭の事情もあり、そうした消費社会とはかけ離れた大学生である。寮自治会の執行委員長としての日々や自死した友人の多感さゆえの脆さなどを描きつつ、やがて作品の視点は茫漠とした未来へ向けられる。
 「おれは、どうしたいんだろうな」という呟き。その何処へとも知れぬ自由は、無論閉塞感と一体であり、「二十歳が、そんなに気楽なわけがねぇだろ!」という叫びと繫がってもいる。
(略)
 人の心の傷、弱さと、救いというものを誠実に伝えようとする一冊である。

 また、「毎日新聞」3月28日夕刊の3月の文芸時評では、編集部撰として取り上げられ、「逃げ場がなく追い込まれてゆく主人公たちの心情は切実で、身近なところに救いを見いだしながら、困難と共に暮らしていく姿が力強く描かれています」と評していただきました。