『静かな夜』東京新聞に書評掲載

 東京新聞、4月1日読書面に、佐川光晴『静かな夜』の書評が掲載されました。
 収録された4作品を、「理不尽な喪失からの再生を願った表題作。誠実であろうとした教師の苦悩をめぐる「崖の上」、青春の無垢な心を描いた「二月」「八月」の四編を収めた短編集」とご紹介いただいています。

 表題作は、穏やかで幸せな日々を送っていた主婦ゆかりが、突然の運命の暗転にさらされる日々=“静かな夜”を描いた作品です。ゆかりを襲う交通事故と夫の突然の死は、こんな不幸の連鎖なんてありえないというよりも、いつ誰を襲うかもしれない十分にありそうなこと。震災後だからこそ一層、そう感じられるのかもしれません。だからこそ読み進めるのが怖くもあり、重苦しくもありますが、ゆかりの心の動きを追ってゆくうち、それでも夜の明けるときは確かに来ると思わせられる作品です。(T)