「表象06」に『文学のミニマル・イメージ』評掲載

 郷原佳以『文学のミニマル・イメージ』の書評が、表象文化論学会「表象」06号に掲載されています。評者はフランス文学・舞台芸術論の熊谷謙介さん。

 本書のタイトルに「イメージ」という語を見たときも、あまり驚きはなかった。ブランショのイメージ論に着目するのは、それひど目新しいことではないと思われたからだ。しかし、本書によってまず眼を開かされたのは、ブランショのイメージについての議論がきわめて多様な領域に及んでいるということである。

 しかし、このスリリングな舞台を読者に提供するには、多領域にわたる知見(哲学、美学から文学理論、レトリック論まで)や同時代の言説空間に対する視点、膨大な先行研究の参照が要求される。著者はこうした難行を果たすとともに、ブランショを中心とする対話を、理解しやすい二項対立の図式に落し込んで済ませようとしない。例えば詩的言語と日常言語の区分をめぐる議論では、きわめて繊細な読解によって、マラルメ—ヴァレリー—ブランショの系譜を問いただし、ポーランを導入することに成功している。

 イメージへの恐怖をレヴィナスと共有しつつ、それでもなおイメージに魅かれるブランショこそ本書が立ち返る原光景であり、そこにはイメージを否定する虚無主義者でも、イメージの快楽主義者でもない、イメージの驚異を前に瞳を開き続けるブランショという新しい像が浮かび上がるのである。

 書評につづき、評者の手によるブックガイドが掲載されています。挙げられているのは『文学空間』(ブランショ)、「Maurice Blanchot : partenaire invisible」(Christophe Bident)、『肖像の眼差し』(ナンシー)、『イメージの運命』(ランシエール)、『異議申し立てとしての文学』(西山雄二)。
 長文の書評はぜひ「表象」本誌をご覧ください。目次は以下の表象文化論学会HPでご覧いただけます。
http://repre.org/publications/journal/06_1/