SFマガジンに『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』の書評が掲載されています

「SFマガジン」2013年7月号に、文芸評論家の長山靖生さんによる、石橋正孝著『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』の書評が掲載されています。
編集者は時には、作者と共同でひとつの作品を育てるパートナーとなる。『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル』は、十九世紀後半という科学知識への関心や読書習慣が大衆レベルにまで拡大した時代、科学的小説によって広く読者を魅了したジュール・ヴェルヌと、彼の作品を編集出版したピエール=ジュール・エッツェルの関係の中に、作品が書かれてゆく過程で編集者がどのような形で作者に働きかけたのか、また作品を商品として流通させるためにどのような工夫を施し、出版形態のイニシアティブをめぐって、両者がどのようにすれ違い、また調整していったのかを、克明に描き出している。
(中略)
近代小説を「創作」と「商売」の両面から解析する本書には、現代の読書家にとっても興味深い示唆がたくさん含まれているが、そのひとつに挿絵本に関する挿話がある。「SFってのは絵だね」(©野田昌宏)を確立したのは、西欧ではヴェルヌ−エッツェル共同戦線だったが、ここで編集者がいかに重要な役割を担っていたかがわかる。
ご紹介ありがとうございました。
本書は、フランス文学研究の最新の成果でもあり、19世紀出版史の1事例分析でもあり、もちろんSFの父ヴェルヌの作家的人生をたどる評伝でもあります。書店ではぜひ古典SFのコーナーもお探しください。