ダ・ヴィンチ12月号に『スワンプランディア!』

ダ・ヴィンチ12月号「7人のブックウォッチャー 絶対読んで得する14冊」『スワンプランディア!』(カレン・ラッセル)を選んでいただきました。

客足が途絶えたワニ園で暮らす少女が見た幻想

 このお話は、家族経営のワニ園が舞台。イメージとしては伊豆熱川のバナナワニ園をもっともっと寂れさせた感じだろうか。場所はフロリダの小島。ママが世界に名高いアリゲーターレスラーだった頃は観光客で湧いていたけど、今や請求書でトランプができるほど。このキッチュでB級(C級か?)、行ったらきっとがっかりするけど覗いてみたい。そんな残念なテーマパークの空気に引き寄せられた。しかも、ここでは不思議な事が起こる。語り手は、ママに憧れる13歳の末妹エーヴァ。ワニ園を巡って、家族はバラバラ。父と兄は本土に渡り、姉は幽霊と駆け落ちするというメモを残して消えた…。
本土・テーマパーク・少女の空想。エーヴァを囲むのは、「夢」と現実の境界線が揺らぐ3つの世界。ワニは何の象徴だろうか。初々しさと怖さが同居する成長物語だ。

評者は卯月鮎さん。ありがとうございます!
外国文学をふだん読まない方の心にも届いて欲しい、たいせつな成長物語です。
どうぞよろしくお願いいたします。