『比較技術でみる産業列国事情』
各国を分析、日本の道示す
中沢孝夫
国や地域によって経済の発達の仕方は異なる。風土や宗教あるいは言語といった文化の違い。また時には歴史的な条件によって、技術や産業の質が曲げられたりもする。しかし当然ともいえる事柄は、議論の際、意外と無視される。
本書は、多くの国の産業のタイプを紹介・分析しながら、今後、凋落する国と発展する国を予測しているが、評者は深く納得しながら本書を読み終えた。
著者は世界経済を動かすのは、「カネではなくモノとサービスでなければならない」と指摘しているが、まったくである。
戦後、軍事・宇宙産業に開発が偏ってしまったアメリカ。個人がイキイキと働くが大組織が苦手なイギリス。組織活動の強いドイツ。技術が発達しない資源大国・ロシア。政治的な失敗を続け後発だが、それゆえ猛烈に進化する中国。細かい社会階層や多すぎる言語など、発展するには条件が難しい民主主義国インド。大企業に偏り中小企業が発達しなかった韓国……といった国別や技術の発展の経過をたどりながら、強みと弱みを紹介する本書は、日本の進むべき道をくっきりと描く。
日本経済新聞 2009年8月5日