祖父江慎さん
 
 今週から『文字のデザイン・書体のフシギ』が書店に並んでいます。著者は、祖父江慎さん、藤田重信さん、加島卓さん、鈴木広光さん。大学の講義を編集した本です。
 今日は祖父江さんの話をしたいと思います。祖父江さんは、ブックデザインにそれまでだれもなしえなかった「笑い」を持ち込んだ、最初の日本人(もしかして世界的にも最初?)です。講義は、前半がその祖父江ブックデザインの制作の秘密を、後半が祖父江さんが凝りに凝っている書体の歴史について講義しています。
 ページの隅々にまで、祖父江パフォーマンスが炸裂しています。どんなのかは実際に(できれば購入していただいて)読んでいただきたいです。
 ゲラをなかなか戻してくれない著者がいます。祖父江さんもその一人。私の知っている著者で第4位に入ります。仕事場に行きます。祖父江さんが現れて、そこで初めて目を通します。「ここ、どうですかね」と確認すると、「たしかに!」と高い大きな声を出したのち「うーん、どうしよう」と次第に女の子のような小声になり、そのうちすっと立ち上がり、カーテンの後ろに消えて行きます。
 そこで、なにやらコソコソと話しています。「うん、うん」という消え入りそうな祖父江さんの声が届きます。
 数分後に現れた祖父江さんは、「えー、決まりました!」と胸を張って椅子に座れます。完全に自信を取り戻しています。カーテンのうしろにいたのは、奥さんで、「よりみちパン!セ」編集長の清水檀さんです。
 たとえば、そんなふだんからパフォーマティブな祖父江ンさんが、学生を前に、爆走しながら話しています。
2008年5月23日金曜日