第3回 酷暑がさっそくやってきた

始めは無理にやらねばならないこともある。乗り越えねばならないものはいつもある。仕事を規則正しくすること、そして困難を、さらなる困難をも乗り越えること、これがおそらく幸福に至る正道である。アラン 幸福論
〈南瓜が採れて嬉しい。ただしこれは未熟だった。〉
〈南瓜が採れて嬉しい。ただしこれは未熟だった。〉
7月、物足りない梅雨が早々に明けると同時に酷暑がやってきた。これが熊谷(付近)の夏か……。朝7時からぐんぐん気温が上がり日中はじっとしていても汗が吹き出す。それでも21時を回ればまあ過ごせる温度に下がるから、真夜中まで30度の都内よりは良い。夕立もだいたいちゃんと夕方に降る。

キュウリ、ナスはもはや持て余すほどになり、ミニトマトも着々と色づいている。じゃがいも後の畝を秋に向けて整えたり、根切り虫禍を生きのびたネギを定植したり、畑はこれからが最盛期!といいたいけど、実はこのところ足が遠のいてしまい、夫の後押し(*1)で辛うじてやるべきことをこなせている。
というのも、酷暑に加えて、間が悪く悪阻が来てしまった。一日中うっすら気持ち悪いくらいで、たいしたことはないのだけど、この暑さとセットで来ると畑に行く気を削ぐには充分。

しかしそうでなくても、ちょっとダレてきた気がする。我ながら早い。3月に始めてまだ4ヶ月だというのに。なんというか張り合いが物足りないのだ。『やさしい家庭菜園』みたいな本に言われるがままに作っても、それなりにできてしまうことはわかった。でもあくまで、それなりに、であって、感動的に美味しい!わけではないのだ。普通には美味しいけど……。そして、虫やなにかで上手く育たないものには打つ手がなく、見守るだけ。自分が良くやったから野菜ができた、と思えない。

それから、穴だらけで食べる気になれない葉物と大根、採れすぎるキュウリに辟易もしているということもある。
最近の収穫は毎日ミニトマト20個、ナス3~5個、キュウリ8本といったところ。ミニトマトとナスはまあまあ食べてしまえるけどキュウリ8本は多い。しかも前のが残ってるから収穫が遅れがちになり、したがって巨大になりがちという悪循環。幾人かの友人知人にもらってもらったけど、それでも我が家で食べるべきものがしっかり残って「もう毎日毎日キュウリばっかり!」とげんなりする(先輩に愚痴ったら「ぼくは少品種大量ではなく、結構いろいろな種類を作ってるけど、それでもばっかり感はあるよ(笑)。基本的に野菜ばっかり!だからね」と慰め?られた)。
〈1山が1日の収穫。キュウリ多すぎる〉
〈1山が1日の収穫。キュウリ多すぎる〉
こんな風に思う自分は農業に向いてないんだろうか。畑で自然と触れ合ってるだけで幸せ!自分で作った野菜を食べられるなんて最高!って思えないとダメなんだろうか。

まあ多分大丈夫、きっと大丈夫なはず。何事もはじめから楽しいとは限らないし、畑に限らず家事もなにも億劫な状態のせいもあろうし。冒頭の引用もいまは厳しすぎる忠告に聞こえてしまうけど、親身な励ましと思っていこう。
* * *
ところでこの畑、どうして借りられたのか。
じつは小川町に来てみても、畑の探し方、借り方など何もわからず、かなりヤキモキしていた。居住地の農業委員会に認められた農業者でないと、正式には農地を借りられないことも小川町に来てから知った(*2)

しかしとにかく就農準備校で「畑を借りたい」と折に触れて言っていたら、違う班のIさんが、自分の借りる畑を一緒にやらないか、と声をかけてくれたのだった。そもそもは有機農家のOさんが使おうとして、やっぱりやめて、仲間のTさんに使わない?と声をかけ、TさんはIさんに回した、という玉突きな話。その端っこにたまたま私がいたわけで、やはりその場にいること、望みは言い触らすことが有効なんだとあらためて思う。

Iさんが周りに声をかけ、一度は7人でやることになったものの、駅から4km、バスは1時間に1本というアクセスの畑では通う遠さがネックになったか、結局、私含め3人が残った。

畑の面積は約7a。きれいな四角ではないので、どう面積を測るか案じた末、1mごとに結び目をつくり両端に杭をゆわえたロープで各辺の長さをチマチマ測り、エクセル方眼紙に1セル=10cm四方として図を書き、各セルに1を埋めて1を数えるというまどろっこしい方法をとった。
3人で分けると1人の区画は2.5a、これはだいたい75坪、農業用語では2畝15歩ということになる。75坪って都内の狭小住宅に暮らしてきた身にはずいぶん広く思えるけど、小川町で農家をやるなら最低3反、900坪を耕作しなければならないし、一人前の農家なら更にその3倍(1町、1ha)は当たり前なので、それに比べるとママゴトサイズ。でも一般的な市民農園の5010区画分はあり、うまくやれば3人家族の野菜は全部賄えて余るはずだし、とはいえ管理機や刈払い機(*3)を使わず鍬と鎌でもなんとかこなせるので、手始めには丁度良い大きさだと思う。
〈畑の計測(全体)〉
〈畑の計測(全体)〉
* * *
このブログをダラダラ書いている2週間のうちに酷暑はとりあえず去り、悪阻もいくらか収まってきた。秋の計画を立ててやる気を取り戻したい。

付記:次回更新は8月中旬の予定です。

*1:週末ごとに「早く行って暑くなる前に帰ろう!」と朝ごはんもそこそこに追い立ててくれるおかげで7時から畑に立てる。

*2:農地がある市町村の農業委員会に「農家」と認められたひとでなければ、正式に、つまり不動産登記に載る形で農地を借りたり買ったりできない。農家と認められる条件は農業委員会によって緩かったり厳しかったりする。小川町では①3年以上の農業研修ないし実務経験(農業法人で働くとか)がある、②最低5反(地区によって3反)を耕作する、③年間1200時間以上を耕作にあてることが主な条件で、近隣町村に比べると厳しめ。農家になるまで最低3年かかってしまうので、小川町で研修しても就農は近隣町村でという人がけっこういる。

*3:管理機ってあまりに漠とした名前じゃないか? 主に土を耕し、畝を立てる便利な機械。1反くらいから必須と思われる。
刈払い機は草刈りの機械。除草剤を使わない有機農家には特に欠かせない。エコ的にはイメージ良くないけど、これがなかったら本当に草との戦いが苦行になってしまう。