第5回 9月は秋の種まきピーク。 |
「農業はこれから儲かりますよ!」台風18号が来て去って、涼しくなるかと思いきや最後の残暑が彼岸まで、という感じだ。それでも朝晩はもう肌寒いし、昼の暑さもなんとなく底があさい、一皮むけば冷気という秋の感じになってきた。 ……といっている間に9月は終わってしまった。 台風18号の被害はそれほどなかった。トマト・オクラ・ピーマンが倒壊したけど既に収穫終わりつつあったから却って片付けるきっかけになる。唯一、しかし予想どおり、実のつきはじめたエゴマがみな倒れたのは悲しい。根切り虫に喰われ、支柱が遅れたせいで倒れ、いままた倒れ、植えた半分くらいになってしまった……。 ![]() 9月は秋の種まきピーク。諸作業をパラパラ書いていく。 ゴマ 「ゴマは収穫してからが大変だよ〜」とよく言われる。 収穫して食べるまでにやらねばならないことは、サヤを乾燥させ、はたいて種を落とし、篩でゴミとより分け、風でゴミとより分け、洗ってゴミとより分け、速やかに乾かす。 私はこういう作業を苦にしないほうだから、あんまり皆が言うほど大変とは思えないけど、どうなんだろう。やってみないとわからないか。 私の畑のゴマは、根切り虫に齧られて2度、蒔き直したので生育がマチマチ。今は、下のほうのサヤが幾らか開いた株を順次刈り取って(下から上へとサヤが開いていく)、家のベランダで干している。先週3日ほど雨が続いたあと、開いたサヤの中のゴマから芽が出ていて驚いた。双葉がみっしりとキノコのようだった。 人参 芽を出すのが最大の難所という人参。研修先では種に土をかけたうえ乾燥防止に籾殻をまく。私は籾殻の手持ちがないのでフスマをまいてみた……が濡れたらフスマ同士がっちり固まって蓋になってしまい、あまり良くなかったようだ。 1回目に蒔いたのはポツポツしか出なかった。1日サボった以外は毎日水やったけど足りなかったんだろうな。2回目に蒔いたあとは雨続きだったのでマアマア出た。家で食べる量には(これがちゃんと育てば)充分だし、蒔き時期も終わってしまったので、よしとしよう。 すでに1回目の間引きが終わった研修先では揚羽蝶の幼虫がそこかしこに憑いている。ハサミでチョンするのだけど、ドロリと垂れる中身、悶えるようにクネる体、漂う臭い……。農業高校卒・研修2年目のM君でも慣れないとか。うええ。 ![]() 白菜 蒔き時期の終盤にセルトレイに種を蒔いた。暑さで溶けるのを恐れ、半日陰においたら貝割れ大根みたいにひょろひょろしてしまい、あわててベランダに移動した。不幸中の幸いというか、暗いところで種まきしたため、1セルに2粒のつもりが5、6本もワサワサ芽がでていたもんだから、出遅れた丈の短い苗を活かして間引けた。トンジーがバケツに勝手に蒔いていたのも、ありがたく頂戴し、これでなんとか持ち直してくれないだろうか。 ![]() アブラナ科群 大根、カブ、小松菜、ちんげん菜など9月から10月に蒔いて11月頃から食べられる予定。春、ネットをかけなかったらミノハムシによる細かい虫食い穴で葉っぱがレース状になってしまい、食べる気がしなかった。反省して、0.6ミリ目合いの防虫ネットを買った。 ![]() 玉ねぎ 発芽するまで湿り気を保てるかが肝心、籾殻で覆うといいらしいけど手持ちがないので麦わらで代用し、ほぼ毎日水遣りして……7割くらい発芽しただろうか。多めに蒔いたから植えるぶんには足りるけど、つくづく発芽下手だと思う。土を耕すのが不十分で、2〜3cmの土塊がゴロゴロするところに蒔くから、覆土の厚さや種と土の密着具合がまちまちなせいかなあ……。いまはともかく、採算を考えると最少の種を無駄なく発芽させられるようにならなきゃな。 涼しくなって作業の合間にまわりを見る余裕がでてきてみると、高い空に無数のトンボ、稲穂ごしに山並み、虫の声。一年前は灰色の都会の灰色なオフィスで、疲れ目を休めるには遠くを見ようといわれたって反対側のビルのガラス壁しかなかったのとは比べものにならない健全さ。金にならない&かったるいという2点を除けば良い仕事だなあ、と改めて思う。
付記:次回更新は10月下旬の予定です。 |