#6

 
 
もがりの海に、波波波
 
 
 
波波波また、波波波
 
噴射孔からはお湯が噴き出す
 
 
 
進化の底からは億年が見つめる
 
ずうっと前にあったことを
 
琵琶法師はまだ歌い続ける
 
 
 
波の下にも都の候ぞ
 
鯨の骨でできた浄土
 
細長い虫の乙女らさみしく舞い舞い
 
その魂ときどき地上へ
 
 
 
やわりやわりと漂い出して
 
春の腐った泥になる
 
秋のぽっかり空いた穴になる
 
風は乙女らの緑髪千切って吹きつける
 
東へ東へ
 
 
(暁方ミセイ)
管啓次郎(すが・けいじろう)
詩人、比較文学者。この数年はバルカン半島との縁が深い。エッセー集に『斜線の旅』(インスクリプト、第62回読売文学賞)、詩集に『Agend’Ars』4部作(左右社)、『数と夕方』など。

暁方ミセイ(あけがた・みせい)
詩人。横浜の北部、田園と新興住宅地の狭間育ち。既刊詩集に『ウイルスちゃん』(思潮社、第17回中原中也賞受賞)、『ブルーサンダー』(思潮社)など。詩作の他に、エッセイの執筆や朗読活動も行っている。

石田瑞穂(いしだ・みずほ)
詩人。見沼の田園、東京、ブールジュをゆききする。最新詩集に『耳の笹舟』(思潮社、第54回藤村記念歴程賞受賞)。詩人のデジタルアーカイブ・プロジェクト、獨協大学「LUNCH POEMS@DOKKYO」ディレクターもつとめている。公式ホームページ「Mizuho’s Perch」。

3名に大崎清香を加えた共同詩集に、『連詩 地形と気象』(左右社)がある。