#24

黙したまま はっか色に発火して (燐、リン、


 
遍在する墓の光が走りだす

はらいそ はらいそ ぐるりよざ



虐げられたものたちの底方の祈りは

さざ波の声音で伝播する ひそやかに

水面へ! 両手をさしあげる姿は 生きようとする眩しい本能



はるか海底にゆれるから 

ひと粒、偶然のように、(それとも選ばれて?なに故に?

からし種が毀れ落ち泥にまみれる

けれど誕生の幽かな予兆 烟となって匂い立つ (小さき芽吹きの小さき匂い



泥ふかく潜れば 太古はやがて咲くだろう

だから沈め 破船の扉を開けよ (はらいそ はらいそ ぐるりよざ

船底の鉄さびた匂い 腐爛の甘やかな匂い 纏わるかいそうの匂い

ああいつしかそこは一面赤いアマポーラ あなたの記憶が滾りだし 

波頭のSea Dragonと化して 再臨 


 (森山恵)


























管啓次郎(すが・けいじろう)
詩人、比較文学者。この数年はバルカン半島との縁が深い。エッセー集に『斜線の旅』(インスクリプト、第62回読売文学賞)、詩集に『Agend’Ars』4部作(左右社)、『数と夕方』など。

暁方ミセイ(あけがた・みせい)
詩人。横浜の北部、田園と新興住宅地の狭間育ち。既刊詩集に『ウイルスちゃん』(思潮社、第17回中原中也賞受賞)、『ブルーサンダー』(思潮社)など。詩作の他に、エッセイの執筆や朗読活動も行っている。

石田瑞穂(いしだ・みずほ)
詩人。見沼の田園、東京、ブールジュをゆききする。最新詩集に『耳の笹舟』(思潮社、第54回藤村記念歴程賞受賞)。詩人のデジタルアーカイブ・プロジェクト、獨協大学「LUNCH POEMS@DOKKYO」ディレクターもつとめている。公式ホームページ「Mizuho’s Perch」。

3名に大崎清香を加えた共同詩集に、『連詩 地形と気象』(左右社)がある。