#33

目が光の受容器ならすべて木の葉は目



太陽が陰画となって空を渡るとき

百億百万の目が暗い空を見上げガヤガヤとざわめく



私たち暗い目ですから光に背くでしょう

太陽と偽太陽を見分けることもなく

降り注ぐ宇宙線に心と唇を編まれて



アマリリスの球根

アマテラスの男根

空が空よりも空虚になって

地上のすべてが空に逃げ出す



木の葉の数だけ空に穴があき

草葉の数だけ空が裂け

地表の暗闇が空に流れ落ちて

私たちの木の葉の目が変に発光をはじめる

視線は琥珀とターコイズの間でぐにゃぐにゃと曲がる



  (管啓次郎)
管啓次郎(すが・けいじろう)
詩人、比較文学者。この数年はバルカン半島との縁が深い。エッセー集に『斜線の旅』(インスクリプト、第62回読売文学賞)、詩集に『Agend’Ars』4部作(左右社)、『数と夕方』など。

暁方ミセイ(あけがた・みせい)
詩人。横浜の北部、田園と新興住宅地の狭間育ち。既刊詩集に『ウイルスちゃん』(思潮社、第17回中原中也賞受賞)、『ブルーサンダー』(思潮社)など。詩作の他に、エッセイの執筆や朗読活動も行っている。

石田瑞穂(いしだ・みずほ)
詩人。見沼の田園、東京、ブールジュをゆききする。最新詩集に『耳の笹舟』(思潮社、第54回藤村記念歴程賞受賞)。詩人のデジタルアーカイブ・プロジェクト、獨協大学「LUNCH POEMS@DOKKYO」ディレクターもつとめている。公式ホームページ「Mizuho’s Perch」。

3名に大崎清香を加えた共同詩集に、『連詩 地形と気象』(左右社)がある。