#34

ターコイズの光の方に歩み寄り



放たれた鳥が島の形に根をはって

星を鋭く叩いていた音楽が落ちてきて溜まる


 
いつの間にか 離れてしまった

いま後ろには翡翠いろの尾をひく軌道

引力の薄くなる彼方をへだてて草葉は黄緑



秋の水色から紺へのグラデーションだ

西空の暗い雲の思いつくままの愚痴や不平は

通訳者により遮断されている

彼女の胸のダイヤが街の中で燃え上がるので



いつの間にか また帰ってきたけれど

わたしの椅子はやはりみつからないし

涼しい惑星の重力の香りが満ちすぎている

銀木犀だ

九月のめだまのお月さまがのぼる


  (暁方ミセイ)
管啓次郎(すが・けいじろう)
詩人、比較文学者。この数年はバルカン半島との縁が深い。エッセー集に『斜線の旅』(インスクリプト、第62回読売文学賞)、詩集に『Agend’Ars』4部作(左右社)、『数と夕方』など。

暁方ミセイ(あけがた・みせい)
詩人。横浜の北部、田園と新興住宅地の狭間育ち。既刊詩集に『ウイルスちゃん』(思潮社、第17回中原中也賞受賞)、『ブルーサンダー』(思潮社)など。詩作の他に、エッセイの執筆や朗読活動も行っている。

石田瑞穂(いしだ・みずほ)
詩人。見沼の田園、東京、ブールジュをゆききする。最新詩集に『耳の笹舟』(思潮社、第54回藤村記念歴程賞受賞)。詩人のデジタルアーカイブ・プロジェクト、獨協大学「LUNCH POEMS@DOKKYO」ディレクターもつとめている。公式ホームページ「Mizuho’s Perch」。

3名に大崎清香を加えた共同詩集に、『連詩 地形と気象』(左右社)がある。