〈女〉としての天皇 THINKING「O」017号


  • 著者:大澤真幸  ゲスト:本郷和人
  • 装幀:松田行正+杉本聖士
  • 定価:本体1500円+税
  • 四六判並製/208ページ
  • 2021年2月23日 第一刷発行
  • 978-4-86528-015-9 C0021
日本の権力はなぜあいまいなまま続くのか シリーズ最長! 天皇とはなにか。天皇と武士はなぜ共存したのか。 天皇と武士の起源、両者の関係性の変遷、日本特有の「イエ」という組織原理から、天皇制の謎に迫る。 ◉社会学者・大澤真幸と、歴史研究者・本郷和人の対談が実現 ◉大澤真幸による、3万字超の書き下ろし論文 武士は力をもってもなお、なぜ天皇を排除することはすることができなかったのか? 天皇に帰属していた権力が脱中心化されたところに着目し、天皇と武士の不思議な関係性を読み解く。 謎を追いかけていったその先に、明智光秀がなぜ織田信長を討ったのか、という日本史最大の謎への答えが現れてくる。 歴史研究、社会学、ラカンの「性化の公式」などを横断する力作。
日本人にとって、天皇は、どのような意味で必要なのか。なぜ天皇制を廃棄することができないのか。日本人自身にも実のところよくわかっていない。外部から日本社会を観察している者にとっても天皇制の存続はふしぎなことに見えるだろうが、当の日本人にとっても、いや日本人自身にとってはとりわけ、それは解かれていない謎である。  天皇は日本社会の歴史における最もはっきりとした常数である。しかし、その機能は、当事者である日本人自身にとっても不明なのだ。そうであるとすれば、日本人にとっては、天皇とは何か、どうして天皇が必要なのか、を理解することは、自らが何者であるかを真に明晰に知ることに直結するだろう。 ーーーーーー大澤真幸「まえがき 天皇とは何か」より



❖ 目次
まえがき 天皇とは何か

対談
本郷和人×大澤真幸「天皇と武士 なぜ権力が共存したのか」

軍隊をもたない天皇
天皇の正統性はどこから来るか
公家と武家はどちらが偉い?
「なんとなく」がつくる権力
土地の支配者としての天皇
武家とは何か
「血よりも家」と「万世一系」
イエとしての皇室
なぜ天皇制は残り続けたのか

特別付録 対談をより深く理解することば

論文
大澤真幸「天皇 武士とのふしぎな共存」

Ⅰ 万世一系という謎
 1 万世一系―しかし血の同一性への無頓着
 2 そこにはいかなる同一性も賭けられていない― 歴史への無関心
Ⅱ 空虚化する中心
 1 X-Pの分立
 2 摂関政治、院政
 3 武家政権はなぜ……
 4 遍在する「天皇制」
Ⅲ 古代天皇制
 1 複式王権
 2 白鳥になった「天皇」
 3 「天皇」という呼称
 4 大嘗祭の本義― 褥と衾
Ⅳ 武士と天皇 
 1 木の彫物で……
 2 上から目線で
 3 恐慌時の貨幣のように
 4 権門体制論
 5 東国国家論
Ⅴ 武士の起源
 1 武士を定義する二つの条件
 2 将種は武士ではない
 3 荘園公領制
 4 牛乳(現地豪族)に乳酸菌(王臣子孫)
 5 対立する二つの「力」― 天皇を中心に
Ⅵ 「朝廷の中の幕府」から「幕府の中の朝廷」へ
 1 朝廷の中の幕府
 2 朝廷の外の幕府
 3 幕府の中の朝廷
 4 全国統一?
 5 戦国大名の「政府」
 6 幕府と朝廷のもう一循環
Ⅶ イエという組織原理
 1 戦う者と戦わない者
 2 馬上から天下を治める
 3 武士の集団の組織原理― イエ
 4 一揆的な関係性
 5 倣い拡大の原理
Ⅷ 〈女〉としての天皇
 1 中皇命
 2 どちらが男でどちらが女か
 3 述語論理入門
 4 「すべてではない」が……
 5 永遠の移行過程
 6 一神教について
 7 外部からの脅威の不在
結に代えて 信長はなぜ殺されたのか


大澤真幸(おおさわ・まさち)
1958年生まれ。社会学者。個人思想誌「THINKING「O」」主宰。『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞を受賞。『自由という牢獄』で河合隼雄学芸賞を受賞。ほかの著書に世界史の謎を読み解いた『〈世界史〉の哲学』「古代篇」「中世篇」「東洋篇」「イスラーム篇」「近世篇」のほか、『不可能性の時代』『〈自由〉の条件』『生権力の思想』『可能なる革命』『憎悪と愛の哲学』『サブカルの想像力は資本主義を超えるか』『三島由紀夫 ふたつの謎』『社会学史』など。共著に『ふしぎなキリスト教』『二千年紀の社会と思想』『ゆかいな仏教』『憲法の条件』『げんきな日本論』など。

本郷和人(ほんごう・かずと)
1960年生まれ。東京大学史料編纂所教授。専攻は中世政治史と古文書学。『戦国武将の明暗』『日本史のツボ』『東大教授がおしえるやばい日本史』など著書多数。大河ドラマ『平清盛』など、作品の時代考証にも携わっている。