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息が詰まるほど不安で苦しい生活が続くのは、私のせいなのだろうか?
まったく分からない“不安”の正体を知るべく降り立ったのは、永田町・衆議院第二議員会館。
この「分からない」を解決するために、国会議員の小川さんに直接聞いてみることにした――。
映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で話題の国会議員・小川淳也に、相撲・音楽ライターとして活動する和田靜香が、生きづらさの原因を直接ぶつけた汗と涙の激論の数々!
お金、住まい、税金、働き方、ジェンダーなど、人それぞれが抱える悩みを政治の力を使って解決へ導く一冊。
相撲・音楽ライター。千葉県生まれ。著書に『世界のおすもうさん』、『コロナ禍の東京を駆ける――緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共に共著、岩波書店)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック)などがある。猫とカステラときつねうどんが好き。
国会議員。1971年・香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。現・立憲民主党所属の衆議院議員(5期/2021年7月現在)。レンチンした「おあげさん」が好き。
政治本なのに、すごく可愛いし、勉強になります。
この本は、自分の不安を解決するために政治に関わってみようとする過程の記録です。わからないことをわからないと言える和田さんと、何の面識も知識もない和田さんを見下しも拒みもせずに対話できる小川さんだからこそ、一から積み上げることができた、歩みの記録です。あまたある政治本とは似て非なる、生きるドキュメンタリーです。
これは、主権者がその代表である国会議員と「対話」する本だ。たとえそこに意見の違いや対立があっても、「対話」はなにかを生むのだと、希望を感じさせてくれる。最終的に、この「対話」こそが民主主義だと、著者は気づくのだが、その過程で読者も、お上にお任せ的な政治ではない、一国の主権者としてのふるまいとはどういうものか考えさせられる。
国会中継がこれほど迫力あるものなら、NHKだけでなく民放もこぞって放送するに違いない。
和田靜香さんは、毎日ただ必死に働き、日々の生活のちょっとしたことに幸せを見出す多くの市民の声を代表して、その生活の大変さや不安な気持ちを国会議員まで届けた。ずっと最低賃金のバイトをしながらギリギリの綱渡りで食い繋いできた和田さんだからこそ、自分のためだけではなく、大勢の誰かのために必死に食い下がり、私たちのことをちゃんと見てください、本当にキツいんです、考えてください、と言い続けられた。
しかし、この本はそれだけでは終わらない。小川さんの考えから学ぶことも大きい本だった。小川さんは常に解決策を考えている人である。労働の問題。税金のこと。辺野古とのこと。エネルギーや環境。そうか、そういうことなのか!
その小川さんは、こう言う。「特定の誰かと戦うんじゃなくて、弱さとか無知とか、構造的な背景と戦うんです」(小川さん)
そうなんだ、「これって私のせいですか」というタイトルが全てを物語る。いま生活が厳しいのは、私のせいでもあなたのせいでもない。社会構造のせいなんだ。時に私たちは、悲しみや無気力、怒りに支配されそうになるけど、その感情をぶつける先は個人や会社じゃなくて、社会の構造やシステム、政策であるべきなのだ。
責めるべき対象は、特定の誰かではなく、ましてや、自分自身ではない。そして、小川さんもまた和田さんから学んでいく。本当の市民の生活はいかなるものか。何が問題なのか。幸せとはなんなのか。
本を読む私たちが、二人が語る先に見るものは希望だ。まだ政治に期待してもいいのかもしれない。それを信じてもいいのかもしれないって。
この本にベストセラーになって欲しい。ただ、きっとこのまま行けばなるだろう。(予言)
うおお…一気に読んだ。そして泣いた。政治をわかろうと本を読んでも、カタカナが多くて、「ステイクホルダーって何?」とかいちいち調べてわかったような結局わかってない…を繰り返していた私。しかしこの本は、足を地につけて生活する人の言葉で書かれていて、私でもわかる。
そして、選挙の投票に行けば責務を果たしている、と思っていた自分を猛省した。この国をどうしたいか、一から考える本になった。
何より素晴らしいのは、著者の和田さんがどんどん成長していく姿、受け止める小川さんが素敵で、これ漫画化できるじゃん!松田洋子さん希望。ドラマにもできると思う。
ドキュメンタリーでありつつ、政治エンタメでもあると言う稀有な本で、感激しております。どうか多くの方に読んでもらえますようにと今もちょっと泣きながら思ってます。
和田靜香著、小川淳也協力『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた』(左右社)。頭の上に乗っかって動かない不安の塊の原因は何か、和田さんが自身の生存をかけて小川さんに聞いていく。小川さんは和田さんを「国民代表」ととらえ、全身全霊で答えていく。はじめは何も知らなかった和田さんが、次第に政治を自分の手に引き寄せていく様が圧巻だった。
政治とは政治家だけがやるものではない。生活者である自分たちが、自分や他の人々が今より幸福になるために自ら関わって考えていくものだということを、本書はまざまざと教えてくれた。例え前途が困難でも、解決の道筋が見えればそれだけで不安は消え、前向きに生きていけるのだと。
どうにも泣けて仕方なかったページがある。小川さんが和田さんの問いに泣きだして答える場面だ。和田さんは問いかける。時給850円でも、高齢で交通誘導員をしていても、どんな仕事だって達成感や喜びはあるだろう。「とはいえ、生活は苦しい。明日は見えない。そのときに政治家には寄り添った言葉をかけてほしいんです。今、おっしゃってくれたような。本当にみんなが欲しいのは、もちろんお金も欲しいけど、隣に座って背中をさするように慈しみの言葉を言ってほしい。今の政治には、それがない。その視線を、政治を司る人が持てたら、世の中はずいぶんと変わると思います。」「この方たちが選挙に行ってくれたら、世の中はだいぶ変わると思うんです。」
すると小川さんは、和田さんの言葉に自身の両親の姿を重ね、あふれる涙をハンカチでぬぐいながら答えるんだ。「自分なんか、振り向かれてないと思ってるよね。関係ないと思ってる。でも、この方たちから根が生えてきたような政治、その政治から人々が受け取るメッセージ、それを創っていくことができたら、本当に世の中が変わるかもしれませんね…。」
市井の一生活者と、国政にたずさわる政治家との対話がここまでできるんだと、和田さんと小川さんが見せてくれた。和田さんじゃなきゃ、小川さんじゃなきゃできないことだった。これは学生運動が終わって以降、暮らしからも芸術からも政治は無関係とされた長い空白を打ち破る、記念碑的な本かもしれない。ぜひ読んでほしい。
コロナに翻弄されるよりはるか前からぼくらが抱いていた不安感や閉塞感は、気候が明らかに変化しているのに、原発建屋が爆発して放射性物質が撒き散らされたのに、食べ物が小さくなっているのに、日々まじめに仕事しても将来設計が立たないのに、政治家が何も答えてくれないことに起因していたのかもしれないと本書を読み終えて気づかされる。ホラ、今だって総裁選のことばかりでしょ?
複雑怪奇な腹芸とか、パワーゲームにいかに勝つかとか、端的にいえば「生活者をいかにだますか」しか考えない、そんなの「政治」なんかじゃなかったんだ。和田さんと小川さんが示して見せた、生活者と政治家が〝ともに考える〟関係こそ、本来の──、あるいは、これまでずっとぼくらが切望していた「政治」のかたちだったんだ。
和田さんの憤りを含んだ疑問は、私たちのモヤモヤそのままでもある。
がっぷり四つに組んだ、誠実な言葉のやり取りだけで、なぜか泣けてくるだろう。
泣けてくるのは、あなたが知らずのうちにこの社会、政治から損なわれているから。
読んだあとも熱い残響がひびく、進行形のドキュメント。
和田さんの体当たりエネルギーが凝縮されたこの本は、有権者の「課題図書」だと思います。
(本書で)明らかになるのは、なかなかに厳しいこの国の現状。今すぐにでも昭和モデルから転換しないとどうしようもないのに、色々なしがらみで変われないこの国のけっこう絶望的な姿。それでも、論点と課題が明らかになるという事は、どこか爽快な体験だ。視界が開けて、なんだか元気になってくるし、モリモリ勉強したくなる。
2021年9月1日に本屋B&Bにてオンラインで開催された刊行記念イベント「私は政治がわからない」。登壇したのは、本書で白熱した問答を繰り広げたライター・和田靜香さんと国会議員・小川淳也さんに加え、執筆中の和田さんの相談役を担っていた作家の星野智幸さん。
政治のプロと、不安を抱えるいち生活者との政治問答(小川さんいわく、デスマッチ)を生々しく記録したこれまでに類を見ないこの本は、どのようにして出来上がっていったのか。制作過程や裏話、読みどころなど、約2時間にわたって熱いトークが繰り広げられました。
和田さんが本を作り始めた当初のことを思い出して爆笑したり、小川さんがハンカチ片手に涙したり。文字通り笑いあり涙ありのイベントの様子をお伝えします。
小川:私の活動を追ったドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を和田さんがご覧になって、その感想やインタビュー記事を書いてくださったのが出会いです。その数ヶ月後、突然和田さんから一緒に本を作りたいと手紙がきて、まず初回の面談をすることになったんです。かなり熱意のこもった手紙を頂いていたので、よっぽど立派なプランとかアイデアがあるんだろうと思って待ち構えていたら、なんと、なんにもなかったんです(笑)。
和田:私、ほんとになんにも分かってなくて。たぶん、自分がなんにも分かってないっていうこと自体を分かってなかったんですよ。もうとにかく生活が不安で苦しくて「どこかになにかをぶつけないともうだめ!」っていうような衝動だけでいきなり行った(笑)。
星野:小川さんにならば、この不安をぶつけたらどうにかなるかもしれないという手応えだけはあったということですよね。
和田:そうですね。映画の件でインタビューに行った後、小川さんのYouTubeの動画をずっと見ていて、何かがもらえるような気がしたんですよね。じゃあ自分が何が欲しいのかっていうと全然分からないんですけど。それでただもうガーッと突き押しって感じ(笑)。そこから先どうなるかはあんまり想像してなくて。
小川:ほんとに手ぶらで、まったくノープランなんで、さすがに私もあの時はちょっと驚きました。こうしたいんです、ああしたいんですっていうのがくるんだろうと思っていたら「何もないんです、何も分からないんです」って、じーっと座ってるんですよ(笑)。これはどうしたもんかなと、苦し紛れに本を2、3冊紹介して「とりあえずこれだけ読んで」と。「読んで疑問に思ったり、もっと聞いてみたいことが出てきたらそれを書き出してください」とお願いするところから始まりました。
星野:そんなノープランの和田さんを見て、小川さんは正直なところどう思ったんですか。
小川:一緒に本を作りたいっていう思いだけはひしひしと感じました。それに、映画について書いてくださった時に、私にはない言葉の世界、感性の世界をお持ちだなということは分かっていたので。今はビジョンもプランも何もなくても、和田さんが真剣に取り組んでくださるんであれば私もそれに応えて、もしかしたら新しい世界観を生める可能性があるなと思いました。まぁ本当に大変な「デスマッチ」が一年近く続いたんですが、出来上がりを見てやっぱりさすがだなと。どれだけ私が努力しても届かないところに和田さんの言葉だったら届くかもしれないという期待と希望を今感じています。
和田:まず小川さんが紹介してくださった本を読んで、それを理解するために他の本もたくさん読んで。それで質問を用意して行くっていうのが2回目以降の面談だったんですが、最初私はただ聞いているだけで、小川さんがお話ししてくださるみたいな感じでした。
小川:僕もけっこう忙しいので、まず一通り私が考えていることを駆け足で伝えなきゃと。質問の数もすごかったので、最初は機械的な作業でしたね。
星野:僕が印象に残っているのは、統計不正の件に関して和田さんがものすごい調べて資料を作って、それを送ったら小川さんが褒めてくれたというところ。小川さんの反応がそのあたりからちょっと変わってきたというようなことを和田さんは言っていました。
小川:あれは正直すごいと思ったんですよ。統計ってすごく専門的な話なのに、あの問題をこれだけ追いかけてすごい勢いで整理して、逆にぶつけてくるっていうのは、この努力は偽物じゃないな、本物だなと。本気度が伝わってきた。それに、その前後ですかね、ある思いにたどり着いたんですよ。つまり和田さんのようになんの知識もない、本気で考えたこともない、でも不安でしょうがなくて悩んだり迷ったりしてる、それは多くの方がそうじゃないかと。そんな人と対話できるとしたら、私は本望だと。それがまさに自分のやりたいことだと。だからそこから先は、和田さんは国民の代表だと思うようになって。いずれ私は多くの国民とそういう対話をしなきゃいけない。そしたらまず和田さんに稽古つけてもらおうっていう心持ちになっていきました。
星野:それは和田さんも感じていたんですよね。
和田:そうですね。だんだんその場が盛り上がってきたというか、熱くなってきたというか。それをすごく感じて、自分も余計がんばらなきゃいけないって思うんですけど、どうやったらいいか分からない。どこを掘ればいいのかも、そこに何があるのかも。例えば財政の話をしようと思っても、財政っていう言葉をググることから始まるんですよ。どこをどう掘ったら自分の疑問とか、自分の感じてる不安と繋がるのかがよくわからない。かといって小川さんにいきなり「財政ってなんですか」って聞くわけにもいかない。
小川:でもそれに近かったよ、最初は。
星野:いやぁ、よく付き合いましたね(笑)。
小川:ほんとにね(笑)。でも途中から私もすごく意味を感じてましたから。和田さんはものすごい馬力で追いついてくるし。ある時「ここは正解を教える先生と教えてもらう生徒の場じゃないよね」って私の方から言ったんです。そもそも正解はない。でも考える材料だけはあるんですよ。私はそういう意味ではプロとして、30年考え続けて、調べ続けているわけです。和田さんは和田さんで、悩んだり壁にぶつかったり切ない思いをしたりしながら人生を重ねてきている。そこがまともにぶつかった時に、どういう化学変化が起きるんだろうと。この社会で生きている人は例外なくみんな同じ構造問題を抱えてるので、ここはそれを一緒に考える道場であり、デスマッチであり、もう死闘、格闘の場だと。だから先生と生徒じゃなくて、一緒に考えるっていうのが正しいスタンスだということを言ったんです。
和田:それを聞いた時めっちゃうれしくて。私もまさにそれがやりたいことだよなと思いました。
星野:たしかに最初は和田さんが教えを乞うという感じですが、住宅問題の話に入るあたりから変わってきますよね。和田さんの方が、まさに渦中にいる者としての言葉を小川さんの政策の言葉に対してぶつけていく。政策が正しいか間違っているかじゃなくて、和田さんは現場の人たちがどんな絶望的な感触でいるか、それを一生懸命政治の現場に伝えようとします。
小川:あのストレートな問いかけと熱意、その背景にある本物の不安とか不信を受け止めた時、これだけ専門家を自負してきた私もある意味白旗を上げざるを得なかった。私の発想が至っていなかった、現実の政策を私がむしろ正しく理解しきれていなかったと言って、和田さんに謝りました。
星野:あそこは前半のクライマックスですね! 和田さんは自分の思いが政治の現場の人に通じたっていうなにがしかの手応えを感じたと思うんですが。
和田:正直あんまり手応えとかわからないんですよ。ほんとにただ素直に、わかってくれてうれしいなって、それのみ。
星野:この本、特にそのあたりを読んでいて、まさに有権者と政治家が政治を作っている瞬間を目の当たりにしたと思ったんですよね。その過程を単にドキュメントしたというよりも、もっと生々しくここに「ある」と感じられるところ、そこにこの本が作られたことの意義と、類書がないと感じる理由があるんです。読むとみんなそう感じるんじゃないかなと思います。それが、誰でも政治って参加できるんだということに繋がる。この後、非正規で働く女性に関しての思いを和田さんが小川さんに伝える場面もありましたよね。そこが後半のクライマックスに当たると思うんですが。
和田:これはほんとに悩みました。非正規雇用の話をした時に、小川さんがそれを解決するための政策はこうだって話してくれたんですけど、ほんとはその場で、自分も含め非正規でずっと働いてる人たちに対しての言葉がなにか聞きたかったんですよね。でも、なぜかその時は聞けなくて。たぶん、小川さんに「そんなのわかんないよ」って言われるのが怖かったんでしょうね。そこはまだ小川さんを信じきれていなかったということだと思うんだけど。でもやっぱり帰ってきてからもずっともやもやしてたので、星野さんにメールで相談して。そしたら星野さんが絶対聞いた方がいいよって、政治家が私たち市民に寄り添って言葉をかけてくれることが一番政治に近づくことで、それはすごく大切なことだって言ってくれたんです。小川さんの秘書の八代田さんにも相談して、小川さんに手紙を書きました。
小川:たしかにそれまでは、どうしても政策の話ばかりになっていましたね。限られた時間だし、質問もめちゃくちゃ多いし。でも、あのお手紙を頂いて、そうか、そういうことかと。和田さんはそこに対して全幅の信頼には至らない心境の中で、いろいろやりとりをされてたんだなということがよく分かりました。でも、だとすると、和田さんはなんの不安も抱かなくていい。和田さんの言葉を借りれば「たよりない人生」、それは私にとって他人事ではないんです。それはパーマ屋の店先に70過ぎて立っている私の母であり、戦争から帰って自転車の荷台に下着を積んで行商して4人の子供を育て上げた私の祖父であり、小さい頃は魚肉ソーセージを1本まるかじりすることが夢だったって言う私の父であり、私自身のことなんです。そういうことなんですよ。そういうことの積み重ねで、世の中は、できてるわけでしょ。そういう、ほんとにこう…… ささやかな人生という言い方をしていいのかどうかわかりませんけども、みんなそうで、その尊さとか、その愛しさとか、そのなんていうか切なさっていうんですかね、それが政治のテーマじゃないはずないんですよ。それが政治なんですよね。(ハンカチで涙を拭う)
星野:この本を通して僕は、和田さん流の民主主義っていうのをすごく感じました。この本を作る過程で、先ほど名前の出た八代田さんにはそれこそおんぶに抱っこですよね。それに本に出てくる僕とか、ライターの金井真紀さんだとか、「つくろい東京ファンド」の小林美穂子さんだとか、あと『なぜ君は総理大臣になれないのか』の大島新監督、プロデューサーの前田亜紀さん。そういう人たちに和田さんはずっとこの本の話をいっぱいしてるわけですよね。
和田:そうです。辛くなったら弱音を吐きまくって、メールしまくり(笑)。
星野:だから実はこの本には、小川さんと和田さんだけじゃなくて、その外側で和田さんと一緒に考えてきた人たちも関わっているんですよね。そういう小さなコミュニティの民主主義っていうのが、和田さんによってできている。
和田:そうかもしれない。
星野:その和田さん流の民主主義のあり方は、考える主体がベースじゃなくて、共感がベースになってるんですよ。だから、和田さんがそういう話をする時に、テーマを議論するんじゃなくて、何が苦しいだとかこういうことで希望が見えたとか、そういう話をするんです。これまでのように、意見の違う人どうしが議論しながら作っていくのが民主主義って言った場合には、考えることの主体だけが重視されて、共感やそういった苦しみの現場っていうのがどこかで抜け落ちちゃう、置き去りにされちゃうと思うんです。それを、和田さんは今回こうやって小川さんにぶつけて、周りの人も巻き込んで、民主主義を作ったんじゃないかと。これは本当にこれからの民主主義にとってすごく必要なことで、それがこの本の価値じゃないかなと僕は思いました。
和田:それで言えば、民主主義はすごく楽しかったですねぇ。小川さんと話すその場ももちろん楽しいんですけど、それをまた帰ってきて「今日小川さんこんなこと言ってたんだよ」って話をみんなに振るわけですよ。するとみんなが、私が小川さんから受け取った1っていうことを3くらいに膨らませてくれたりするんですよね。
小川:この巻き込む力はすごいし、最終的には和田さんの人徳なんでしょうね。さっき星野さんが「和田さんに巻き込まれてる時の僕は、洗濯機で回されてる洗濯物みたいなものです」とおっしゃってたんですよ(笑)。
和田:じゃあ、私が洗濯機なの?
小川:いや、和田さんは洗濯機じゃないでしょ。回ってるいちばんでっかい洗濯物ですよ(笑)。巻き込まれてるハンカチとか靴下とかがまわりにいっぱいいて。
星野:結局小川さんも巻き込まれた方ですよ。これはどうしたものかって最初のうちは思われてたのがここまできたんだから。そういうふうにしていけば、和田さんみたいに政治について考えたり対話したりすることは誰でもできると思うんですよね。いや、もちろん和田さんになるのはなかなか難しいですけど、要するに専門性がなきゃ政治や民主主義に関われない、語れないというわけじゃないってことですよね。
小川:そこですよね、そこです。
小川:もう一つ僕が印象に残ってるのは、ある頃から、これって和田靜香の成長物語だなって思い始めたんですよね。そしたら、僕の東京後援会でお世話になってる若手の方から「いや、これ小川さんも成長させてもらってますよ」って言われて、ちょっとハッとしました。だからやっぱり、稽古つけてもらったってことですよね。でも私の立場から言えば、それでは済まないんですよ。つまり、この本を作る過程は思考実験の場なんです。でも、これからはそれを行動実践に移さないといけない。その時和田さんと向き合って悩んだように、今度は多くの国民のみなさんと話し合って、対話に対話を重ねて、一緒に悩みながら、しかし一つの結論を生み出して方向性をとっていく、決断していくと。果たしてやれるか、それは僕の問題であると同時に、やっぱり日本国の問題であり、日本国民の問題であり、国民自身で次の時代を選びとっていかないといけない。
和田:私から小川さんにお願いしたいことが一つだけあるとしたら、本を作り始めた最初の頃に小川さんが言っていた「どうか諦めずに一緒に歩いてください」ということ。私にもそうしてくれたように、ずっとこれをやってほしいなと思います。新しいリーダーって、「俺についてこい!」じゃなくて、一緒にみんなで手を繋いで歩いていく人だと思うんですよね。
小川:並走、伴走ですよね。
星野:うんうん。そのかわり有権者も一緒に外に出て歩きましょうよって、その覚悟や努力が必要ですよね。それもこの本できっと感じてもらえると思います。
小川:そう、それが最大のエネルギーなんですよ。この本にはそこに着火、点火する可能性があるよね。
星野:先陣を切って突破するのは和田さんみたいに飛び抜けたエネルギーのある人だけど、この本を読んだ人はもうちょっと簡単にそこにたどり着けると思います。
文・新原なりか
相撲・音楽ライター。1965年千葉県生まれ。著書に『世界のおすもうさん』、『コロナ禍の東京を駆ける――緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共に共著、岩波書店)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック)などがある。
国会議員。1971年香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。現・立憲民主党所属の衆議院議員(5期/2021年7月現在)。
作家。1965年アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。2年半の新聞社勤務後、メキシコに留学。1997年『最後の吐息』で文藝賞を受賞しデビュー。2011年『俺俺』で大江健三郎賞、2015年『夜は終わらない』で読売文学賞、2018年『焔』で谷崎潤一郎賞。近著に『呪文』『だまされ屋さん』『植物忌』などがある。
このたびのプレゼント企画は、100冊に達したため終了いたしました。
たくさんのご応募、まことにありがとうございました!
このたび、本書の刊行を記念して、プレゼントキャンペーンを実施いたします。以下の「申し込みページ」よりご応募いただいた先着100名様に、書籍代・送料無料で本書を一冊お送りいたします。
本キャンペーンは「この本を、最低賃金の方は買うことが出来るだろうか?」という小川議員のひとことがきっかけで実現しました。金銭的な理由で本書の購入をためらわれる方はもちろん、普段なかなか本を読む機会がない方や、左右社の本を手にとったことがない方にも、ぜひお届けできればと思います。
本書のタイトルの通り、著者の和田靜香さんは、ライター業のかたわら最低賃金でアルバイトを続けてこられましたが、コロナ禍で飲食店のアルバイトを解雇されてしまいました。
誰にとっても、先の見えない不安な日々が続いています。
このキャンペーンを通して本書を手にとってくださった方々が、たとえその不安から完全に自由になることはできなくても、モヤモヤの原因を以前よりはっきりと認識できるようになったり、不満を声に出せるようになったり、「仲間がいる」と心強くなれたりしたら、弊社一同大変うれしく思います。
ご応募お待ちしております。
※お一人様一冊となります。100冊に達し次第応募を締め切らせていただきます。何卒ご容赦くださいませ。
※本のご感想や和田靜香さんへのメッセージなどございましたら、書籍に同封されているはがきにご記入をお願いいたします。
和田さんと一緒に、小川さんから政治について教わっているような気持ちになりました。全ては一致ではないのですが、わからないことがある時は、この本に立ち返って確認して知識を発展させたいと思います。
これほど楽しく笑いながら政治のことを考えられた本はなかったと思います。東大出て国際政治学者でもなければ政治を語ってはいけないのではないかと考えていたのですが、この本を読んで、そうだこれはわたしの問題なんだと覚醒。とりあえず衆院選の演説を聞きに行ってみました。
実家が香川1区にあり平井さんのポスターを街角で見ながら育ちました。ずっと変わらないと思っていたので選挙結果にびっくりしました。政治家にビビりながらも逃げずにぶつかっていく姿勢とほんのりただようのんびりした感じ。こういう対話にしていけるといいなと思いました。
政治は難しいから誰かに任せればいいのか。そんなはずがない。分かったふりをするのではなく1からくらいつく和田さんのよい意味での「あきらめの悪さ」に敬服しました。
迷いや悩みの中での学びは本でありながらドキュメンタリー映画を観ているような臨場感がありました。読後最も感じたのは、いかにしてこの本を多くの人、特に若い人たちに読んでもらえるか??という事です。この本は伝わってこそ役目を全うすると思います。
これなら(和田さんと)同じく凡庸で政治にあまり関心を持たずに生きてきた自分も、背伸びや見栄を張らずに読み進められる、と安心しました。
私も日本に住む者として政治にしっかりと向き合っていきたいと思う。本書の政治問答ブックリストも教養を深めるために読んでみようと思いました。
失礼ながら、政治家の書かれた本を買おうとは思ったことがなかったのですが、この本なら読みたい!と思いました。和田さんのすなおな気持ちに終始共感しながら、応援する気持ち、いっしょにがんばらなきゃと思いながら、読みました。
和田さんのユーモアに笑い。小川議員の言葉に涙をポロポロこぼしたりしながら71歳の老人にもまだ出来る事があると教わった様に思いました。若者から年寄りまで一人でもたくさんの方に今、読んでもらいたい本でした。
政治家のお仕事は本で初めて分かることが多かったです。和田さんの力強さにも魅せられました。
医療従事者で勤め先がコロナ専門病院になってしまい、職場でも人との接触を避けるようになり、休みでも友達にも会えず、本当に殺伐としています。この先に希望が持てなくて、そんな中メディアから流される報道にはなんでこんなひどい事が罷り通るのか?とガッカリするやら腹が立つやら。なんなのコレ?と思っていた中でこの本をいただけたこと、本当にありがたく思います。何が起きているのか、良いことも悪いこともキチンと説明してもらえることで、問題は変わらなくても自分の問題に向き合う姿勢が変わる。色々な意見があって、その中で折り合いをつけてやっていく。民主主義って大事だと思いました。
2日間くらいで一気読みしました。すごく胸がジーンときたし、一方で何が問題なのか、小川さんの具体的な解説、問題提起で、私自身もっと学ばねば、と思いました。環境と人工問題が大きく相関していること、ちゃんとわかっていなかったのでガンと頭が殴られたような気になりました。
『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』
著者:和田靜香 取材協力:小川淳也
イラスト:伊野孝行
装幀:松田行正+杉本聖士
四六判並製/280ページ
2021年9月5日 第一刷発行
定価:本体1700円+税
978-4-86528-045-6 C0031
© Sayusha 2021