産業革命から今日まで、46の名著とともに、人類史的な視野で見つめる。
書誌情報
- 定価
- 2,035 円(税込)
- 電子書籍価格
- 1,925 円(税込)
- ジャンル
- 政治・経済・社会
- シリーズ
- 放送大学叢書
- 刊行日
- 2017年08月30日
- 判型/ページ数
- B6判 並製 240ページ
- ISBN
- 978-4-86528-181-1
- Cコード
- C0333
- 重版情報
- 3
- 装幀・装画
- 松田行正+杉本聖士/装幀
内容紹介
近代社会はモンスターと化して、一連の仕組みの暴威と限界を晒するようになった。このような今日の経済社会に対して、内容を分析し、問題提起したのは、アメリカの経済学者R・ハイルブローナーである。彼は近代における経済社会の主要な変化を、市場の拡大に加えて、三つの要因にみている。著書『世俗の思想家たち』(1953)や『経済社会の形成』(1963)で次のようにいう。
第一に、ヨーロッパにおいて「国家」という政治単位が徐々に出現したことを、彼は重視している。農民戦争と国王による征服で打撃を受けた初期封建制、すなわち孤立した小国群というあり方は、中央集権的な君主制に取って代わられた。そして、この君主制への移行に伴い、国民国家の精神の昂揚が起こる。この過程が重要だったのだ。
経済的取引が成り立つ条件にはさまざまなものがある。遠隔地貿易などの対外取引、あるいは国内取引、局地的取引によっても条件は異なる。しかし、いずれの取引の場合にも、貨幣、度量衡、法律などの共通の諸制度がなければ、取引成立は長期的なものとなりえない。そしてこのような経済制度の整備には、集権国家の力が必要であった。したがって、経済活動に対する国家の介入は、一方において規制、統制を伴うものであったが、他方においては広範な地域を商業取引に解放することになり、実質的には経済活動を保護することになったのである。
(第二章「経済文明の起源」より)
本書で触れた書籍(著者名のアイウエオ順)
アリストテレス『政治学』『経済学』
ウェーバー、M『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
オルソン、M『集合行為論』
オルテガ&ウナムーノ、M『スペインの本質』
ガーシュニー、Jら『現代のサービス経済』
クラーク、C『経済進歩の諸条件』
クルース、H&ギルバート、C『アメリカ経営史』
ケインズ、J・M『一般理論』
ゲーレン、A『人間の原型と現代の文化』
ゲゼル、S『自由貨幣論』
コーエン、S&ザイスマン、J『脱工業化社会の幻想』
コモンズ、J『集団行動の経済学』
サン=シモン『産業者の教理問答』
シュペングラー、O『西洋の没落』
シュンペーター、J『経済発展の理論』『資本主義・社会主義・民主主義』
シンクレア、U『ジャングル』
ジンメル、G『貨幣の哲学』
スミス、A『国富論』
チャンドラー・ジュニア、A『経営者の時代』
ドゥロネ、J・C&ギャドレ、J『サービス経済学説史』
ナイト、F『危険・不確実性および利潤』
ノース、D・C『文明史の経済学』
バーナード、C『経営者の役割』
バーリ、A&ミーンズ、C『近代株式会社と私有財産』
ハイルブローナー、R『世俗の思想家たち』『経済社会の形成』
ハウンシェル、D『アメリカン・システムから大量生産へ』
フランケル、S・H『貨幣の哲学』
フュックス、V・R『サービスの経済学』
バジョット、W『ロンバード街』
バチェラー、R『フォーディズム』
ベル、D『脱工業社会の到来』
ボーモル、Wら『舞台芸術 芸術と経済のジレンマ』
ポラニー、K『大転換』
マーシャル、A『経済学原理』
マクラッケン、G『文化と消費とシンボルと』
マルクス、K『資本論』
ミュルダール、G『経済理論と低開発地域』
メイヨー、E『産業文明における人間の問題』
メンガー、C『一般理論経済学』
ライベンシュタイン、H『企業の内側』
ルーマン、N『信頼』
ロストウ、W・W『経済成長の諸段階』
ロック、J『統治二論』